VISA やMastercard、JCBなどのクレジットカードブランドを「国際ブランド」と呼びます。これらは世界中で利用できる決済システムで、24時間、さまざまな国の加盟店で支払いができます。国際社会で通用する、信頼性の高いブランドです。ビジネスカードを選ぶ時、年会費や付帯サービスなどとともに、国際ブランドも重要なポイントとなります。
目次
国際ブランドの種類
日本でカードの発行が可能であり、多くの店で利用できる国際ブランドには、以下の5種類があります。
- VISA (ビザ)
- MasterCard(マスターカード)
- American Express (アメリカン・エキスプレス、通称アメックス)
- JCB (ジェーシービー)
- Diners Club (ダイナースクラブ)
国際ブランドの基本データ
VISA | MasterCard | American Express | JCB | DinersClub | |
---|---|---|---|---|---|
世界シェア (決済額) |
約50% 第1位 |
約26% 第2位 |
約3% 第4位 |
約1% 第5位 |
1%未満 第6位 |
世界シェア(決済額)と売上シェアのデータは2018年のニルソンレポートによる
この表の世界シェアとは、世界での決済額のシェアです。加盟店数や利用地域の割合ではないので注意してください。加盟店の数や利用地域は、VISAとMastercardがほぼ同数で世界トップです。どちらも、200カ国以上の国で利用することが可能です。
長い間、この5つの国際ブランドを「5大ブランド」と呼んでいました。しかし近年、新しい国際ブランドである「銀聯」(ぎんれん)と「Discover」(ディスカバー)がシェアを伸ばしています。この2つを含めて、今は「7大国際ブランド」が知られるようになりました。
銀聯とDiscoverは、日本ではまだ利用が限られている上、カードの発行も多くはありません。ここでは、先述した5種類の国際ブランドについて紹介します。
国際ブランドとビジネスカード
国際ブランド5種類について、搭載できるビジネスカードを挙げてみます。主に一般カードのビジネスカードを挙げますが、ランクアップしたカードでも同じ国際ブランドを選択できます。
たとえば、「三井住友ビジネスカード for Owners」はVISAとMastercardの2種類から国際ブランドを1つ選ぶことができます。ゴールドカード、プラチナカードとカードランクを上げても、国際ブランドの選択肢は一緒です。
国際ブランドと搭載できるビジネスカード
搭載できる主なビジネスカード | |
---|---|
VISA |
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MasterCard |
|
American Express |
|
JCB |
|
DinersClub |
|
VISAとMasterは決済専用の国際ブランドで、自社でカード発行を行なっていません。プロパーカードはなく、さまざまな発行会社のカードに提携する形でカードが作られています。
JCBとアメックスは、決済機能の提供もカード発行も行なっている会社です。「JCB法人カード」「アメリカン・エキスプレス・ビジネスカード」というオリジナルのプロパーカードが発行されています。
DinersClubも決済機能・カード発行の両方を行なっていますが、提携カードはごく少数です。ビジネスカードでは、プロパーカード1枚のみの発行となっています。
VISA – 世界第1位を誇る代表的な国際ブランド
国際ブランドとして押しも押されもせぬ存在のVISA。世界のクレジットカード売上高、発行枚数において世界トップのブランドです。
VISAを搭載できる主なビジネスカード
利用できる国や地域・加盟店数ともに非常に多く、VISAがあればどこへ行ってもほぼ困ることはありません。海外出張がある方は入手しておくと安心です。日本国内でも利用できる店は豊富で、クレジットカード決済に対応している店であればほとんどがVISAを使えます。
VISAは、カード発行事業を行なわない会社です。したがって、自社発行の「プロパーカード」を作っていません。決済システムだけをカード発行会社に提供しています。ビジネスカードの国際ブランドを確認すると、VISAを選択できるカードがもっとも多いことがわかります。
一般カードにはないサービスとして、ビジネスカード会員に向けた「ビジネスオファー」サービスが用意されています。
VISA「ビジネスオファー」主な特典
- 「ビジネスグルメオファー」
全国10都市の提携レストランで受けられる優待特典。料金10%オフやお土産一品、ワンドリンクサービス等。接待・会食などのビジネス利用に便利 - 経理会計サポート 財務会計システム「ClearWorks」の無料トライアル(最大2ヶ月)
- 出張サポート ヨーロッパ他、海外出張の際の間接税還付手数料の10%割引
Mastercard – VISAと同様、世界中で利用できるNO.2ブランド
Mastercardは、売上高で第2位の国際ブランドです。世界210の国や地域で利用でき、VISAに匹敵する加盟店数があります。
Mastercardを搭載できる主なビジネスカード
すでにVISAのカードを持っているのであれば、2枚目にMastercard搭載のカードを持つのもよいでしょう。海外で、Visa・Mastercardの2ブランドが使えるのなら、ほとんどの支払いをカバーすることができます。
Mastercardはさまざまな点でVISAに類似しています。たとえば、カード発行事業を行なっておらず、自社のプロパーカードを出していないこともその一つ。ビジネスカードではMastercardを選ぶことができるカードは数種類あり、選択に困ることはありません。
Mastercardのクレジットカードを選ぶメリット・デメリット
Mastercardにも、VISA同様にビジネスカード特典があります。一般のクレジットカードでは利用できない特典です。
Mastercard「ビジネス・アシスト」主な特典
- 経理会計サポート 経理処理システム「経費Bank」導入費無料
- 出張サポート じゃらんの限定宿泊プラン利用可能、じゃらん限定ポイント加算
- ビジネス支援 会議やパーティーの運営サポート特典あり
American Express – ステータス性の高いカードといえばアメックス
American Expressは、アメックスと呼ばれて親しまれている国際ブランドです。ステータス性の高い国際ブランドとして世界的に有名です。
American Expressを搭載できる主なビジネスカード
「審査が厳しい」「お金持ちしか持てない」というイメージがありますが、今はやや軟化しています。ハイステータスという長所を保ちながら、一般層にも使いやすいように変わりつつあります。入手難易度・審査の厳しさなど、思ったよりも易しかった、という声も聞こえます。
アメックスはJCBと提携しているため、JCBが利用できる店ではアメックスも使えることが多いです。日本で利用できる加盟店はたいへん多くなり、使いやすくなりました。
ビジネスカードでは、アメックスのプロパーカードであるアメリカン・エキスプレス・ビジネスカードと別に、提携カードであるセゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードなどが入手できます。プラチナカードなのですが、プロパーカードと比べると年会費が抑えめです。
国際ブランドAmerican Expressを選ぶメリットとデメリット
JCB – 国内ではもっとも使いやすい日本生まれの国際ブランド
JCBは日本生まれの国際ブランドです。中国の銀聯が登場するまでは、アメリカ以外の国の国際ブランドとして唯一の存在でした。
JCBを搭載できる主なビジネスカード
売上の世界シェアでは1%ほどですが、国内では売上・加盟店数ともにトップです。仕事で海外に行くことはそれほどない、という方であればJCBは非常に有用です。
JCBは、American ExpressやDiners Clubと提携しています。そのため、アメックスやDinersのマークが出ている店であれば、JCBも利用できる場合が少なくありません。
Diners Club – エグゼクティブが利用するハイクラスの一枚、ダイナース
ダイナースは当初から「富裕層に向けて」のサービス展開を行ってきたブランドです。日本で最初にクレジットカードを発行したパイオニアでもあり、確かな伝統と実績があります。
Diners Clubを搭載できるビジネスカード
ダイナースは提携カードが限られており、ビジネスカードとしてはプロパーカードの一枚だけです。アメックスと同じように、ハイステータスのカードとして知られています。付帯サービスのクオリティーは高く、通常のカードでも「他社のゴールドカード以上に匹敵する」とまで言われています。
年会費は29,700円(税込)と高額であり、ショッピング利用枠の上限が設定されていません。申し込み条件には「27歳以上」とあるため、社会経験のある大人に持ってもらいたいという意向が読み取れます。
Diners ClubもJCBと提携関係にあり、国内で利用できる機会は以前よりもずっと多くなりました。2008年にはDiscoverカードの傘下に入ったため、海外ではDiscoverが使える店でも使用できることがほとんどです。