経費処理をシンプルにし、経費の削減も可能なビジネスカード。個人用一般カードとどんな違いがあるのかをまとめてみました。
目次
ビジネスカードと個人用一般クレジットカードの違い
ビジネスカードは、中小規模の会社経営者も対象としていますが、この記事は個人事業主用に限定してまとめています。
ビジネスカード | 一般クレジットカード | |
---|---|---|
発行対象 | 個人事業主 | 個人 |
名義 | 事業主本人 | 個人 |
支払い口座 | 代表者個人口座 | 個人口座 |
用途 | 事業の経費支払い | 私的な支払い |
年会費の相場 | 1,000円~数千円 | 無料~1,000円台 |
追加カード発行枚数 | 従業員用カード:枚数無制限の ものが多い |
家族カード:1~5枚程度 |
ショッピング利用 限度額の相場 |
80万円~300万円 | 50万円~100万円 |
キャッシング | 可能なものもある | 可能 |
支払い方法 | 一括のみの場合もある | 一括、分割、リボなど多彩 |
券面の名義 | 個人名義 カードによっては屋号入りも可 |
個人名義のみ |
審査対象 | 申し込み本人 申し込み内容によっては事業実績 |
申し込み本人 |
発行日数の目安 | 2~4週間 | 数日間 即日発行も多い |
屋号とは、個人事業につける名前です。法人であれば「◯◯株式会社」などの社名表記ですが、個人事業で社名に対応するものが屋号になります。これは必ず必要というものではありません。
発行対象
ビジネスカード | 個人用一般クレジットカード |
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個人事業主 | 個人 |
ビジネスカードと個人向けのカードの大きな違いは、「発行対象者」です。個人用の一般クレジットカードはもちろん個人向けであり、幅広い層が対象となっています。
それに対して、ビジネスカードは経営者あるいは個人事業主が対象となります。フリーランスや起業した人が利用すると便利なクレジットカードです。
名義
ビジネスカード | 一般クレジットカード |
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事業主本人 | 個人 |
ビジネスカードの名義は、個人事業主の場合、事業主本人となります。個人名が記載されるだけなので、個人用のカードと区別がつきにくいかもしれません。
ビジネスカードの中には、個人名だけでなく、希望すれば屋号も記載できるカードがあります。屋号が入っていても、カード名義は記載されている個人ということに違いはありません。
従業員のために追加カードを発行することができるカードもあります。従業員カードを複数枚用意した場合も、カードを利用できるのは名義人である従業員だけです。複数人で1枚のカードを貸し借りして使い回すことはできません。
支払い口座
ビジネスカード | 一般クレジットカード |
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代表者個人口座 | 個人口座 |
ビジネスカードでは個人事業主の場合、事業主本人の銀行口座、もしくは屋号つきの口座を指定できます。起業して個人事業主となった後に、事業用の銀行口座を開設した方もいるでしょう。銀行によっては「屋号+個人名」で銀行口座を作ることが可能です。
個人事業主は、支払い口座の名称に屋号を付けておくと、取引先からの信用度が増します。取引先の立場で考えると、個人名の振込先にお金を送ることは少々心配になることもあるかもしれません。この場合、「◯◯事務所」「レストラン◯◯」といった屋号があると、個人名よりも信用を得やすくなります。
利用用途
ビジネスカード | 一般クレジットカード |
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事業の経費支払い | 私的な支払い |
ビジネスカードは、事業用経費の支払いに使います。プライベートの支払いにカードを使用することは基本的にありません。事業のための支払いをすべてビジネスカードで済ませることができれば、経費処理が一本化・簡便化されてたいへん便利です。
このように、プライベートな支払いと仕事上の支払いの区別をつけやすくするというのがビジネスカードの大きな役割のひとつです。ただ、ビジネスカードで個人的な支払いができないということでもありません。
ビジネスカードでプライベートな買い物をしてしまった場合、帳簿上ではその商品(サービス)を購入した部分を「事業主貸」の勘定科目で仕訳すればOKです。
年会費の相場
ビジネスカード | 一般クレジットカード |
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1,000円~数千円 | 無料~1,000円台 |
ビジネスカードには、年会費無料のものはごく少数です。俗に一般カードと呼ばれる基本的なビジネスカードでは、年会費として1,200円程度を設定しているものが多く見られます。もちろん、カードランクが上がれば年会費も上がります。例えばゴールドカードの年会費相場は10,000円程度です。
年会費が永年無料のビジネスカード – 維持費なしで使える法人カード
年会費は、事業経費として計上することができます。個人用一般カードを経費支払いに利用し、経費に計上すると「事業経費支払いかどうかが明確でない」と税務署に指摘される可能性があります。ビジネスカードであれば、事業に関連する支払いのためのカードとわかるので、堂々と経費計上できます。
追加カードの発行枚数について
ビジネスカード | 一般クレジットカード |
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従業員用カード:枚数無制限のものが多い | 家族カード:1~5枚程度 |
個人用の一般カードでは、家族カードとして追加カードが作れる場合があります。枚数は多くの場合5枚くらいまで。ビジネスカードでは、従業員用カード(メンバーカード)として追加発行ができる種類が数多くあります。追加枚数は制限なく何枚もOK、というものもいくつかあります。
追加カードがたくさん作れる方が便利なように思えますが、利用限度額は追加カードの分も含めた上限金額となっています。たとえば、利用限度額が100万円のカードで追加カードを9枚作った場合、親カードを合わせて10枚で限度額100万円をやりくりすることになります。どのくらい利用するかを考えた上で追加カードを作りましょう。
ショッピング利用限度額の相場
ビジネスカード | 一般クレジットカード |
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80万円~300万円 | 50万円~100万円 |
個人用のクレジットカードもビジネスカードも、利用限度額はカードによってさまざまです。しかし、全体的にビジネスカードの方が利用限度額が高額な傾向があります。個人の買い物の支払いに使われる一般のカードに対して、ビジネスカードは事業での高額な支払いに使われる場合があるからです。
たとえば、事業で必要となる接待は費用が高額になりがちです。このような場合、ビジネスカードがあれば、現金を手元に用意しなくても支払うことができます。一度に大きな額が動く可能性があることから、利用枠も大きく設定されています。
キャッシング
ビジネスカード | 一般クレジットカード |
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個人事業主用では可能な場合もある | 可能 |
一般カードではキャッシングが利用できますが、法人カードでは基本的にキャッシングは不可となっています。しかし、個人事業主を対象としているビジネスカードでは、キャッシングが可能なものもいくつかあります。
これは、個人事業主は個人の延長と考えることができるため、「個人への融資として」キャッシングが認められる場合があるからです。法人と違い、貸し倒れなどのリスクが少ないと判断されているということもあります。
支払い方法
ビジネスカード | 一般クレジットカード |
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一括のみの場合もある | 一括、分割、リボなど多彩 |
個人用の一般カードでは、分割払いやボーナス一括払い、リボ払いなどを選択できます。しかしビジネスカードでは、支払い方法が一括払いのみというものがあるので注意が必要です。
数は多くはありませんが、個人事業主用のカードの中には支払い方法や回数を選べるビジネスカードがあります。支払いごとに方法を選択できるので、上手に利用してキャッシュフローを改善していくことが可能です。
キャッシュフローでみるビジネスカード – 法人カードの「締日と支払日」一覧
カード券面の名義
ビジネスカード | 一般クレジットカード |
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屋号が入れられるものもある | 個人名義のみ |
個人用のカードには名義人として個人名が印字されます。カードによっては、さまざまなデザインから選べるものもあります。
ビジネスカードではデザインを選べることはありません。発行会社によりますが、名義の部分などに屋号を入れられる場合があります。また、ビジネスカードとわかるように、「Business」と印字されるカードもあります。
審査対象
ビジネスカード | 一般クレジットカード |
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申し込み本人 申し込み内容によっては事業実績 |
申し込み本人 |
個人用のカードでは、申し込みをした本人を審査します。ビジネスカードでも、まずは申し込み本人について審査をするのが一般的です。個人の審査の場合、クレジットヒストリーが重視されます。
クレジットヒストリーとは、今までクレジットを利用してきた履歴のことです。審査では、「返済を3カ月連続で滞納したことがあるか」「自己破産をしたことがあるか」などについてチェックされます。個人のクレジットカードの使い方を確認し、返済がきちんとできると判断された場合はカードが発行されます。
事業実績(起業してからの期間、決算)については、審査対象としないビジネスカードが多くなりました。ショッピング利用枠などの上限を高く希望した場合などに、事業に関わる書類を求められる場合があります。
確定申告を経験していない、設立まもない個人事業主にもカードが発行されますし、赤字決算でも審査に通るカードもあります。 ビジネスカードの審査で最も重視されるのは、個人としての信用なのです。
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発行日数の目安
ビジネスカード | 一般クレジットカード |
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2~4週間 | 数日間 即日発行のものもある |
ビジネスカードの発行日数の標準は、約2~4週間です。即日発行可能のカードもある一般的なクレジットカードとは、かなりの違いがあります。
これは、ビジネスカードでは申し込みが煩雑という理由があります。申し込み書類などを郵送する必要があるため、どうしてもやりとりに数日かかってしまうのです。
また、ビジネスカードでは審査が慎重に行われることも理由の一つです。貸し倒れリスクを回避するために、カード会社も綿密に審査をしなければなりません。ビジネスカードは申し込んでもすぐに発行されないので、余裕を持って申し込むと良いでしょう。