ビジネスカードの券面には、必ず名義人の個人名がローマ字で印字されます。法人の場合には、氏名と同時に社名を入れることができるものもあります。個人事業主の場合では、屋号を入れられるカードもあります。
目次
ビジネスカードのデザインは国際規格で決められている
ビジネスカードに限らず、クレジットカードのデザインは細かく国際規格で決まっています。どの要素がどこに配置されるかは、世界共通です。国際規格で統一されていることにより、クレジットカードは世界中で使えるようになっています。
たとえば、名義人の印字は必ずカード表面左下です。署名欄は必ずカード裏面に配置されています。カードの縦横サイズ、国際ブランドのマークや有効期限の位置など、国際規格により定められているものは多岐にわたります。
カード表面に番号がないナンバーレスカード
最近はカード表面にカード番号を記載しない「ナンバーレス」の法人カードが登場しています。ナンバーレスカードのメリットは、店頭決済などでカード番号やセキュリティコードを店側に知られないという点です。
ICチップの搭載されたカードを決済端末に挿し、暗証番号を入力すれば、カード決済ができます。ですから、店頭決済においてカード番号やセキュリティコードを利用する機会はありません。
ナンバーレスカードのカード番号は、専用のスマホアプリなどで確認できる仕組みになっています。ネットショッピングでカード番号を入力する際には、アプリでカード番号やセキュリティコードを確認します。
ビジネスカードの表面には「名義人」が印字される
クレジットカードには名義人が印字されています。これは、カードの所有者を明確にすることで不正利用を防ぐという理由によるものです。ビジネスカードの名義人はカードを利用する個人であり、印字は必ず個人名です。従業員用のカードであれば従業員の氏名となります。
「会社のカードだから名義は会社」「カードには社名だけしか印字されない」ということはありません。法人の場合、カードの券面に刻印されているのは個人名でも、引き落としはきちんと指定の法人口座から行われます。
名義人氏名と一緒に社名・屋号も印字が可能
カード表面の名義人の場所に、法人の場合は社名を、個人事業で屋号があれば屋号も刻印することができるビジネスカードがあります。名義人を表記できる欄は2行あり、社名または屋号と氏名が1行ずつ印字されます。
社名または屋号が印字できる主なビジネスカード
上段 会社名 or 屋号 下段 氏名 |
上段 氏名 下段 会社名 or 屋号 |
---|---|
個人事業主の場合、屋号を印字したい場合は申し込みの際に希望を出すようにしましょう。特に何も申し出なければ、カードの印字は個人名だけとなります。
個人名だけしか印字できないビジネスカード
- オリコ EX Gold for Biz S(個人事業主用)
- オリコ EX Gold for Biz M(法人用)
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード(個人事業主の場合:名前の下に「BUSINESS」と刻印)
氏名、社名、屋号などはローマ字で印字される
氏名・社名・屋号などは、どのようなアルファベットで印字するかを自分で申し込むようになっています。申し込みフォームには、「漢字」と「カナ」、そして「ローマ字」を入力・記入する欄があります。
名義人欄の申し込み
- 漢字氏名 姓・名
- カナ氏名 セイ・メイ
- ローマ字氏名 名(FIRST NAME)・姓(LAST NAME)
なお、アジア系の名前は通常「姓 → 名」で表記しますが、クレジットカードのアルファベット表記では一般的に「名 → 姓」と印字します。「姓 → 名」を逆に書いた場合やローマ字表記をミスした場合、カード発行会社の方で訂正を加えてくれることは基本的にありません。申し込み本人がまちがって入力した通りに印字されてしまいます。
また、文字数制限が設けられているので注意してください。文字数制限はカードによって異なりますが、スペースを含む20字前後と考えられます。
氏名のローマ字表記はパスポートのサインと同じものにする
ローマ字の表記法にはヘボン式、訓令式などさまざまな方式があります。自分の希望する表記で申し込んで大丈夫です。ローマ字表記を申し込む時には、以下の2点に注意します。
- 戸籍上の氏名を記入・入力する
- 本人確認資料(運転免許証、パスポートなど)と同じ内容にする
海外旅行を予定している場合は、パスポートの署名と書き方をそろえるようにしましょう。
海外の免税店や施設で、支払いの際パスポートの提示を求められる場合があります。クレジットカードのローマ字表記と、パスポートのローマ字表記が異なっている場合、カード支払いが利用できない場合があります。
また、アルファベット氏名の表記が通常と逆になっている(姓→名の順になっている)と、パスポート表記と違うことになります。この場合も海外でのカード利用時に、スムーズに利用できなくなる可能性が考えられます。海外通販、ネット通販などでも利用できない可能性が出てきます。
気をつけたいローマ字表記
促音の表記(つまる音、小さい「っ」 )
→直後の子音字を重ねます。KK、SS、という風になります。ヘボン式では、直後の子音がchの時だけtchと書きます。
例:「八田」 …HATTA
「吉兆」 …KITCHO が一般的 KITTYO、KITTYOO、KITCHOOでも可
長音の表記(のばす音、「ー」)
「おお」は「O」「OH」「OO」、「おう」は「O」「OH」「OU」のいずれもOKです。クレジットカードやパスポートでは、長音符号(「マクロン」=â, î, û など、文字の上にある長音を示す記号)は使えません。
例:「太田」 …OTA、OHTA、OOTA
「佐藤」 …SATO、SATOH、SATOU
※いずれも可
他、注意したい文字は次のようなものです。クレジットカードでは、どちらの表記を
希望してもかまいません。すでにパスポートを作っている方などは、パスポートの表記と
そろえることを考えましょう。
ひらがな | ヘボン式 | 訓令式 |
---|---|---|
し | SHI | SI |
ち | CHI | TI |
つ | TSU | TU |
ふ | FU | HU |
じ | JI | ZI |
ぢ | JI | ZI |
ず | ZU | ZU |
づ | ZU | ZU |
しゃ | SHA | SYA |
しゅ | SHU | SYU |
しょ | SHO | SYO |
ちゃ | CHA | TYA |
ちゅ | CHU | TYU |
ちょ | CHO | TYO |
じゃ | JA | ZYA |
じゅ | JU | ZYU |
じょ | JO | ZYO |
ローマ字をどの表記にするか迷った場合は、パスポートなどで使われる一般的なヘボン式を選ぶと良いでしょう。
カード裏面の署名欄にサインする
カード裏面の真ん中には署名欄があります。テープを貼ったようになっている質感の違う部分です。カードが手に入ったら、ここにサインをしましょう。一般的には、名義人である個人名(カード表面の名義人と同じ名前)を書きます。このサインは必ずしも氏名を記入する必要はなく、任意のサインで構いません。
署名欄のサインは、漢字でもアルファベットでも構いません。漢字のサインで書かれているクレジットカードでも、海外で利用可能です。
店頭で支払いをする時、署名欄にサインがないカードは、原則としては使うことができません。カード支払いの際サインを求められたら、署名欄のサインと同じようにサインします。書体等も変えずにサインしましょう。
カード券面の印字を訂正したい場合
「Z」と記入したつもりが「N」と刻印されていた・ローマ字表記を変えたい・名と姓を逆にして申し込んでしまった、などという時は、訂正を申し込んでカードを再発行してもらうことができます。特に印字ミスの場合は、至急カード裏面に記載されているカスタマーサービスの連絡先、または公式サイト等から連絡してください。
カード券面の印字を訂正してもらう手順
- カード裏面の連絡先、公式サイトの窓口に連絡する
- 訂正理由、内容を伝える
- 訂正申込書が郵送される
- 訂正内容を記入して返送される
- カード再発行
名前等の訂正は書面での手続きが必要です。連絡をした後に手続きの書類が送られてくるので、あらためて記入の上返送しましょう。再発行の手数料はカードによりますが、500円から1,000円ほどです。訂正理由によっては手数料がかからない場合もあります。
再発行までの期間は、通常2~3週間程度です。再発行をすると、カードナンバーが変わってしまうので気をつけてください。