ビジネスカードは、基本的には開業・会社設立後まもなくでの発行は難しいと言われていました。しかし、今は申し込み個人の信用だけでカードを発行してくれるビジネスカードが少なくありません。開業・会社設立1年目でも作ることのできるビジネスカードについて紹介します。
目次
ビジネスカードで審査されること
会社や事業で利用するビジネスカードは、3つの審査基準があると言われてきました。それは、「設立年数」「事業実績」そして「申し込み本人の信用情報(クレジットヒストリー)」です。
しかし、今は審査対象や基準が多少変化しています。まず一番に「申し込み本人の信用情報」が重要視されるようになってきました。本人の信用度さえ確かなのであれば、ビジネスカードはスムーズに発行されることが増えています。
申し込み本人の信用情報(クレジットヒストリー)とは?
クレジットヒストリーとは、その名の通り「クレジットカードの歴史」=今までどのようにカードを使ってきたか、ということです。個人の信用情報は、クレジットカード利用の履歴を見て判断されます。
クレジットヒストリーは、略して「クレヒス」と呼ばれます。クレヒスは3つの信用情報機関に登録されており、カード会社は申請者の返済能力をここで確認します。ビジネスカードの審査に影響がありそうなマイナスのクレヒスとしては、以下のものがあります。
- クレジットカードの返済を3カ月続けて延滞したことがある
- 携帯電話を分割購入し、電話料金を3カ月続けて延滞したことがある
- 1年以内に、融資申し込みを複数行なっている
- クレジットカードをまったく作ったことがない
30代以上の大人なのに「クレジットカードを作ったことがない」という場合は、「カードが作れないのでは?」と判断される可能性があります。また、カードでの延滞はなくても、スマホや携帯電話の料金を滞納していると信用度は下がってしまいます。
クレジットヒストリーは育てることができる
現在のクレヒスが良いものではなくても、改善することは可能です。使いやすいカードを用意し、毎月少額で良いのでコンスタントに利用します。そして、延滞せず返済をきちんと行うようにします。
例えば、これを2年ほど続けていけばクレヒスはきれいになります。2年は少々長いかもしれませんが、優良なクレヒスがあれば、カード会社からの信用を得られ、審査にも通りやすくなります。
本人確認書類のみで審査を行うビジネスカードがある
申し込み本人についてのみ審査をするビジネスカードを選べば、開業直後でも、会社設立後まもなくでもさして問題はありません。そうしたビジネスカードを探すには、審査必要書類として「本人確認書類のみ」と記載されているものをチェックします。主なものを挙げると下記の通りです。
個人事業主・法人共に本人確認書類のみ必要なビジネスカード
- オリコ EX Gold for Biz S (エグゼクティブ ゴールドフォービズ エス:個人事業主用)
- オリコ EX Gold for Biz M (エグゼクティブ ゴールドフォービズ エム:法人代表者用)
- 三井住友ビジネスカード for Owners
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
オリコ EX Gold for Bizは、個人事業主用と法人用でカード名末尾のアルファベットが異なります。「S」が個人事業主用で、「M」が株式会社などの法人用です。
三井住友ビジネスカード for Ownersと、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキ
スプレス・カードは、個人事業主用・法人用ともに同じカードです。
個人事業主に限り、本人確認書類のみ必要なビジネスカード
- JCB法人カード
- UC法人カード
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード
- ライフカードビジネス(利用枠100万円以下の場合)
ただし、これらのカードも、ある程度の事業情報(法人名 or 屋号、事業内容など)を申し込みフォームに入力するようになっています。なお、審査基準はどのカードも非公開です。問い合わせても、基本的に教えてはもらうことはできません。
申し込みから発行までは、約3週間ほど
カード発行会社により異なりますが、ビジネスカードの申し込みから手元に届くまでの流れはこのようになっています。
- Webの申し込みフォームに入力し、送信
※申し込みフォームの内容で審査を行うカードもあり
↓ - 入会申込書が郵送される
↓ - 入会申込書を記入・捺印
本人確認書類、審査に必要な書類などを同封の上返送
↓ - 入会審査
↓ - 自宅にカードが到着
入会審査の結果は、メールで通知されます。カードが手元に届くまで、申し込みから約3週間程度というカードが多くなっています。
審査に通りやすくなるコツ
カード発行会社としては、貸し倒れリスクが大きいと判断すれば発行を躊躇します。リスクがあると思われる場合は、審査はより慎重になります。リスクが少ないと判断されるには、こんなポイントがあります。
- ショッピング利用枠の希望が小さい
- キャッシングが利用できる場合でも、希望しない
キャッシングを希望すると、その分カード会社の審査も厳格になりがちです。ショッピング利用枠も希望が大きくなると、「返済が難しいのでは」と思われる可能性があります。
利用枠は最初から高額の希望を出さず、カードを手に入れてからゆっくりと広げていくことができます。入手したビジネスカードを上手に使い、滞りなく返済していれば、カード会社の方から利用枠の拡大を勧めてくることもあります。
開業 or 設立1年未満でも申し込めるビジネスカード
ここでは、本人確認書類だけで審査するカードの他、公式サイトなどに「審査に通りやすい」ことをうかがわせる記述があるカードをピックアップしてみます。
開業 or 設立1年未満でも申し込めるビジネスカード
- オリコ EX Gold for Biz S (個人事業主用)
- オリコ EX Gold for Biz M (法人代表者用)
- 三井住友ビジネスカード for Owners
この3つのビジネスカードを比較したものです。
オリコEx Gold for Biz S(個人事業主用) M(法人代表者用) |
三井住友ビジネスカードfor Owners | ライフカードビジネス ライト |
|
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カードデザイン | ![]() |
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発行対象 | S:個人事業主 M:法人代表者 |
個人事業主 法人代表者 |
個人事業主 法人代表者 |
年会費 (税込) |
2,200円 初年度無料 |
1,375円 初年度無料 |
永年無料 |
ショッピング 利用枠 |
10万円~300万円 ※審査により決定 |
10~150万円 | 10万円~200万円 |
実質還元率 | 0.6%~1% | 0.5% | なし |
国際ブランド | ![]() ![]() |
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創業間もない個人事業主でも作れるビジネスカード
設立間もない会社でも作れる法人カード
オリコ EX Gold for Biz S 、オリコ EX Gold for Biz M
オリコ EX Gold for Biz は、個人事業主向けに「S 」が、中小企業の法人代表者向けに「M」が用意されています。ゴールドカードですが、年会費は初年度無料・翌年からは2,200円と低価格です。
本人確認書類のみで行われる審査は、比較的通りやすいという評判があります。個人事業主用の「S」のみキャッシングが利用できますが、キャッシングを希望する場合は所得証明書が必要となる場合があります。
ショッピング枠は広く設定されており、ポイント還元率も高く、旅行傷害保険は海外最高2,000万円、国内は最高1,000万円が付帯されています。
三井住友ビジネスカード for Owners
三井住友ビジネスカード for Ownersは公式サイトに審査についての問い合わせが紹介されており、「設立3年未満でも申し込めます」と明記されています。個人事業主についても、開業3年未満で審査に通る可能性があります。
銀行系のビジネスカードであり、ステータス性も感じられるカードです。審査は柔軟で、法人代表者でも個人事業主でも、本人確認書類だけで行われます。このカードも個人事業主であればキャッシングが可能ですが、オリコ EX Gold for Biz S と同様に、所得証明書が必要となる場合があります。
信頼性の高い三井住友ブランドであり、年会費も初年度無料・翌年からは1,375円と手頃です。クラシックカード(一般カード)からスタートして、ゴールドカード、プラチナカードへとランクアップさせることも可能です。
ライフカードビジネスライト
年会費無料のライフカードビジネスライトは、2018年4月に登場した新しいビジネスカードです。「ライト」の名前の通り手軽に申し込めるカードで、ビジネスカードを初めて作るという方にふさわしい一枚です。
カードの案内には「会社設立・開業すぐでも申し込みOK」というキャッチコピーがついています。「他のビジネスカードはハードルが高い」とためらってしまうフレッシュな層にアピールしていることがうかがわれます。