ビジネスカードの利用ルールを決めておくと、従業員がカードを使うときに不正利用などのトラブルをある程度防ぐことができます。安全に、便利にビジネスカードを使うための利用規定の例を紹介します。
目次
ルールを設けていない場合に起こりうるミスや不正
「従業員にカードを渡していたら、経費でないものも購入していた」「同じ決済でも経費
に入れる人・入れない人がいた」ということはありがちです。ルールを周知させるだけで
トラブルが避けられるケースも多いものです。
- プライベートのランチ代をビジネスカードで支払った
- 事務用品を購入する時に個人利用の商品も一緒にオーダーした
- ガソリンを給油する時に自宅用の灯油も購入
- 出張先で自宅用のお土産を経費で購入した
このようなトラブルを防ぐため、下記のようにビジネスカード利用のルールを周知してお
くことをおすすめします。
ビジネスカードを従業員が利用するときのルール
従業員がビジネスカードの追加カードを使う場合には、導入前に利用ルールを決めておくことをおすすめします。たとえば、以下のようなルールです。
- カード使用者を決めておく
- カード使用の連絡、報告を義務付ける
- カード使用の目的、範囲を決めておく
- 領収書、利用明細の提出
カード使用者を決めておく
まずは、カードを使える人を定めます。「役員」「役職のある従業員」あるいは、「出張の多い営業担当者」「車をよく運転する従業員」などが考えられます。経費を使う権限を与えても良い役員や従業員です。
従業員全員にカードを発行する、という状態は現実的ではありません。経費を使える存在は使用者が多くなればなるほど、利用明細の確認などがたいへんになります。定められた従業員にだけ、カードを発行するようにします。
カード使用の連絡、報告を義務づける
小規模の事業者で、従業員のカード利用機会が少ない場合、カード利用の機会があればその都度報告を義務づけるようにします。報告の項目は使用日や場所、使用内容などです。
カード使用者が多い、あるいはカード利用の機会が多いのであれば、毎回報告をするのは難しいかもしれません。このような場合は、たとえば「一定の金額以上利用した場合には報告を義務づける」など、報告の基準を設けても良いでしょう。
カード使用の目的、範囲を決めておく
カードの用途は明確にしておきましょう。従業員がカードを使う目的としては以下のようなものが考えられます。
- 旅費交通費 電車や飛行機のチケット代、宿泊費、ガソリン代
- 消耗品費 文房具、オフィスの備品購入費
- 接待交際費 取引先との飲食代、ギフトやお見舞い
- 新聞図書費 書籍やDVDの購入費
カード使用のルールとして、従業員ごと・役職ごとに利用金額の上限をある程度決めるこという手があります。一部のビジネスカードでは、追加カードごとに利用枠を設定できるようになっています。(オリコ ビジネスカード Gold、ライフカードビジネス 等)
飲食代などは、実際に経費にあたる場合も多いのですが、私的に使ってしまうことも簡単です。また、使用後に経費かどうでないかの区別がしにくい場合も少なくありません。従業員がカードを使う目的として、「出張の際の旅費交通費だけ」「給油だけ」というように、使用できる場面を大きく決めておくことも有効です。
その他、使用先として「ネット通販の会社はここ」「ガソリンスタンドはここ」と利用する業者を指定しても良いでしょう。指定の店舗・業者以外の利用があった場合、経費以外の利用かどうか確認しやすくなります。
領収書、利用明細の提出
証憑書類は、カードの利用明細書だけでは十分ではありません。必ず、領収書や売上票、利用伝票の提出を義務づけるようにします。
カード決済により発行された領収書は、信用取引の決済(クレジット払い)のため、金銭の支払いが済んでいません。このため、領収書よりもクレジットカードの売上票の方が重要です。日付や店舗名、利用額などが記載されているので、カード決済の証明書として利用できます。
また、接待交際費に関して言えば、裏面に必要事項を記入してもらうようにしてください。具体的な内容をメモしておくことによって、業務に必要な経費であることを証明できます。必要事項とは、以下の内容です。
- 時間
- 参加者、参加人数
- 利用目的(何の打ち合わせか、など)