ビジネスカードを使うようになると「節税」もできるのでしょうか。実は、ビジネスカードを利用することで可能となるのは、「節税」というより「節約(経費節減)」です。経費が節約できるビジネスカードの特典、ポイント還元率の良いビジネスカードについて説明します。
目次
ビジネスカードは「経費節減」に役立つ
経費が多くなれば、それだけ税金の負担を減らすことはできますが、むやみに経費を増やすことは無駄遣いでしかありません。経費を節約することであれば、ビジネスカードの特典やポイント還元を利用することで実現できます。
ビジネスカードには、仕事で利用できる特典やサービスが付帯しています。旅行で役立つ割引特典であれば出張費が削減できますし、レストランの優待があれば接待交際費が抑えられます。
福利厚生サービスが充実したビジネスカード – 特典で選ぶ法人カード
ビジネスカード払いに一本化して振込手数料を抑える
カード会社に支払先を一元化すると、銀行振り込み手数料を節約できます。多岐にわたる支払いの手数料が削減できます。これは、すべてのビジネスカードで実行できる経費節約です。
ビジネスカードを使って決済ができれば、支払いは指定口座からまとめて自動引き落としになります。公共料金の他、ネットショップでもカード払いを設定すれば、振り込みなどの手間が不要です。
国内・海外旅行の予約優待を利用する
国内出張、海外出張があれば、ビジネスカードの出番は多くなるかもしれません。出張時の支払いをビジネスカードで行う以外に、利用できるサービスは豊富です。
たとえば、会員専用の旅行予約サービスが利用できるビジネスカードがあります。割引優待が使える具体例を2件紹介します。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード「アメリカン・エキスプレス・トラベル オンライン」
会員専用の旅行予約サイトです。ホテル、レンタカー、国際線航空券のオンライン予約が可能です。手数料が一切不要で、優待価格の商品が用意されています。ポイント優遇サービスもあり、通常の2倍である100円=2ポイントが付与されます。予約時のポイント支払いも可能となっています。
ライフカードビジネス「TravelGate」(トラベルゲート)
ライフカードの旅行サービスでは、近畿日本ツーリストなどの旅行予約が可能です。国内・海外ツアーや宿泊プランの予約、パッケージツアーの割引なども利用できます。
接待にレストラン優待を利用する
接待をする機会があるのなら、高級レストランの優待サービスが使えると費用を抑えることができます。たとえば、コース料理の1人分が無料になるものはたいへんお得です。
国際ブランドVISA 「ビジネスグルメオファー」
顧客との接待や会食に利用できるレストラン優待です。VISAを搭載したビジネスカードであれば利用できるサービスです。全国10都市の厳選レストランが対象です。
特典の内容は、ビジネスでの利用に特化しています。「料金の10%オフ」、「お土産一品サービス」、「ワンドリンクサービス」などが用意されています。
ダイナースクラブビジネスカード「エグゼクティブ ダイニング」
対象レストランの所定コース料金1名分、もしくは2名分が無料になるサービスです。対象となるレストランは全国にあります。
車を使う場合はETCカードを利用する
多くのビジネスカードでETCカードを追加発行することが可能です。高速道路を使うのであれば、ETCを利用することで料金が割引されます。ほとんどのETCカードは年会費無料で発行されます。
ETCの料金割引
- 平日朝夕割引 平日・朝夕の時間帯で、地方部で最大100km相当分を約30~50%還元(無料通行分が付加)※ETCマイレージサービスに登録が必要
- 休日割引 土日祝日、地方部では30%割引
- 深夜割引 毎日午前0時~午前4時は30%割引
ETC・追加カードに強いビジネスカード – 車利用のコスパで比較
ビジネスカードの特典やサービスを活用しての経費節減は、他にも以下のようなものがあります。
- 福利厚生施設優待(ホテルやスポーツ施設の割:福利厚生費節減)
- オフィス用品購入優待(事務用品などの通販の割引:消耗品費節減)
- 会議室利用、収納レンタル、海外発送などの割引サービス
ポイントプログラムで高還元を狙う
ビジネスカードのほとんどは、ポイントプログラムが付帯しています。利用額に応じてポイントが貯められ、貯まったポイントを商品やマイル、他社のポイントなどと交換できます。オフィスに必要なものと交換すれば、経費の節約に結びつきます。
ビジネスカードでは、平均的なポイント還元率はおよそ0.5%です。1,000円で1ポイント(5円相当)となります。
実質還元率の高いビジネスカード
ビジネスカードの中で、平均的な0.5%の還元率を上回るものを挙げてみます。
- オリコ EX Gold for Biz S(エグゼクティブゴールドフォービズ エス:個人事業主用)
- オリコ EX Gold for Biz M (エグゼクティブゴールドフォービズ エム:法人用)
- 楽天ビジネスカード
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
※オリコ EX Gold for Bizは、個人事業主用と法人用でカード名末尾のアルファベットが異なります。「S」が個人事業主用で、「M」が株式会社などの法人用です。楽天ビジネスカード、セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは、個人事業主用・法人用ともに同じカードです。
実質還元率の高いビジネスカード
オリコ EX Gold for Biz S、M | 楽天ビジネスカード | セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード | |
---|---|---|---|
カード デザイン |
|||
年会費 (税込) |
2,200円 初年度無料 |
13,200円 | 22,000円 |
実質還元率 | 0.6%~1.1% | 1% | 通常0,5% 海外利用は1% |
ポイント プログラム |
暮らスマイル | 楽天スーパーポイント | セゾン永久不滅ポイント |
ポイント 有効期限 |
獲得した月から2回目に 迎える会員誕生月まで (13カ月~24カ月間) |
最後にポイントを 獲得した月から1年間 |
有効期限なし |
楽天ビジネスカードの年会費は、楽天プレミアムカードの年会費11,000円+追加カードの年会費2,200円を合算したものです。
セゾンプラチナの年会費は、年間200万円以上のカード利用がある場合、翌年の年会費が11,000円になります。
オリコ EX Gold for Biz
年会費(税込) | 実質還元率 | ポイントプログラム | ポイント有効期限 |
---|---|---|---|
2,200円 初年度無料 |
0.6%~1.1% | 暮らスマイル | 獲得した月から2回目に迎える会員誕生月まで (13カ月~24カ月間) |
オリコ EX Gold for Biz のSとMのポイント還元率は、基本的な還元率である0.5%に「ゴールドカード」特典が20%プラスされます。これにより、還元率は最低で0.6%になる計算です。
さらに、「クラステージ」によってポイント還元率がアップします。これは、1年のビジネスカード利用額によって翌年度のステージが決定し、ポイント加算率がアップするしくみです。
初年度は、ノーマルステージからのスタートです。1年間に50万円の利用でも、次の年の還元率は0.85%になります。
年間に200万円以上のカード利用額があれば、翌年度の還元率は1.1%となります。200万円も利用するのは難しいように感じられるかもしれませんが、毎月17万円を利用すれば「ステージ200」となります。
オリコ EX Gold for Biz のクラステージ(ポイントアップ)
1年間のカード利用額累計 | 翌年度のステージ | 翌年の加算倍率 | 実質還元率 |
---|---|---|---|
50万円未満 | ノーマルステージ | 1.2倍 | 0.5% |
50万円以上 | ステージ50 | 1.7倍 | 0.85% |
100万円以上 | ステージ100 | 1.9倍 | 0.95% |
200万円以上 | ステージ200 | 2.1倍 | 1.1% |
オリコ EX Gold for Biz は、ゴールドカードではありますが、年会費は初年度無料、翌年からは2.200円と低コストのビジネスカードです。最高300万円まで可能なショッピング枠があり、海外・国内旅行傷害保険も付帯しています。低コスト・高スペックの一枚です。
楽天ビジネスカード
年会費(税込) | 実質還元率 | ポイントプログラム | ポイント有効期限 |
---|---|---|---|
13,200円 | 1% | 楽天スーパーポイント | 最後にポイントを 貯めた月から1年間 |
※ 楽天プレミアムカードの年会費11,000円+追加カードの楽天ビジネスカードの年会費2,200円
「楽天ビジネスカード」は「楽天プレミアムカード」の追加カードとして発行される法人カードです。楽天プレミアムカードを持っている人が申し込みをすることで入手できます。楽天ビジネスカードだけを所持することはできません。
楽天スーパーポイントが貯まりやすく、特に楽天市場などで買い物をする方にはメリットが大きいでしょう。ポイント還元率は常時1%です。楽天市場でショッピングをする場合は還元率5%にまで跳ね上がります。
ポイント有効期限は「最後にポイントが発生した月から1年間」となっています。毎年1回、カードを利用していれば期限は1年ずつ延びます。普通に使っていればほぼ無期限ということになります。
楽天ビジネスカードの特典には「プライオリティ・パス無料付帯」(申し込みが必要)があります。これは、海外空港のVIPラウンジを無料で使えるハイステータスな特典です。最高5000万円まで補償となる海外旅行傷害保険と合わせて、海外出張でも活躍するカードです。
楽天プレミアムカードを持たないと入手できないこと・追加カードが作れないことがデメリットと言えますが、ポイントを重視するならチェックしておきたいビジネスカードです。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
年会費(税込) | 実質還元率 | ポイントプログラム | ポイント有効期限 |
---|---|---|---|
22,000円※ | 通常0,5% 海外利用は1% |
セゾン永久不滅 ポイント |
有効期限なし |
※ 年間200万円以上のカード利用がある場合、翌年の年会費は11,000円
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードはプラチナカード、しかもアメックスのカードです。年会費22,000円は安くはありませんが、プラチナカードとしては手頃な額と言えます。なお、年間200万円以上の利用があれば翌年は年会費が11,000円に減額されます。
還元率は基本的に0.5%ですが、海外での利用では優遇があり、1%の還元率となります。さらに、JALのマイルで貯めることで、還元率1.125%に達します。マイルを貯めるには、「SAISON MILE CLUB」に登録する必要があります。
永久不滅ポイントは有効期限がありません。ポイント失効を気にせず貯められるのはメリットです。永久不滅ポイントもJALマイルに交換可能です。
プラチナカードならではの特典も充実しており、楽天ビジネスカードと同様に海外空港のVIPラウンジを利用できるプライオリティ・パスが付帯します(申し込みが必要)。ステータス性も基本性能も高い一枚です。
ポイントモールを活用して還元率アップ
ポイントを貯めて高還元を目指すのであれば、カード発行会社の「ポイントモール」を活用するのも一手です。ポイントモールを使うと、ネットショッピングでポイントがいつもより多くもらえます。
使い方は、まずポイントモールを開き、そこから各ショッピングサイトに進んで買い物をします。ポイントモールを経由するだけでOKです。
ビジネスカードの主なポイントモール
- オリコ EX Gold for Biz S 、Mなど 「オリコモール」
- 三井住友ビジネスカード for Owners など「ポイントUPモール」
- JCB法人カード 「OkiDokiランド」
- ライフカードゴールドビジネス 「L-Mall」(エルモール)
ビジネスカードでは、発行会社ごとにポイントモールを運営しています。ポイントアップのしくみは、「クレジットカードのポイントとは別に、ポイントモールのポイントが得られる」タイプと、「クレジットカードのポイントを通常より多くもらえる」タイプがあります。
- Amazon.co.jp
- 楽天市場
- Yahoo!ショッピング
- ヤフオク!
- じゃらんnet
- ビックカメラ.com
- ユニクロ公式オンラインストア
ポイントモールを経由して利用できるショップは会社により多少異なりますが、これらが代表的なショッピングサイトです。
ポイントがどのようにプラスされるかは、ポイントモールや参加ショップによります。「通常の2倍のポイント」や「利用額に関わらず一律100ポイント」など、さまざまです。