個人用のクレジットカードは、生活費などへの私的利用が想定されています。そのため、カード会社は一般クレジットカードとビジネスカードに別々の規約を設けて、商品をラインナップしています。会社運営における経費の利用には、個人用のクレジットカードではなくビジネスカードを利用しましょう。
目次
ビジネスカード決済のメリットとデメリット
ビジネスカード決済のメリットとデメリットには、以下のようなものがあります。ビジネスカードには、一般クレジットカードにはない独自の特典も用意されています。
メリット | デメリット |
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経費の流れを可視化できる – ビジネスカードのメリット
ビジネスカードを利用すると、利用明細書が毎月届きます。明細書には、「利用日時」「利用店舗」「利用代金」などが明確に書かれています。
公私の支払いを区別できる
個人のクレジットカードを使わなければ、事業用のビジネスカードで支払ったものはすべて経費、とはっきりさせることができます。利用明細書に「私用の支払い」と「事業用の支払い」が混在することがありません。
経費支払いの詳細が一覧できると、無駄遣いを発見することが容易になります。コストダウンをはかるためにも、経費の流れの可視化は有効です。
確定申告時には経費証明書類として利用できる
ビジネスカードの利用明細書は、確定申告の経費証明書類のひとつとして使うことが可能です。帳簿に書くべき経費の詳細は、ビジネスカードの利用明細書としてまとめられています。
カードによりポイント還元が可能 – ビジネスカードのメリット
ビジネスカードの利用額は、個人のクレジットカードよりも大きな額となることが予想されます。ポイントプログラムが用意されているビジネスカードを選ぶと、利用額に応じてポイントを貯めることができます。利用額が大きくなればなるほど、ポイント還元も見逃せない大きさになります。
ビジネスカードのポイント還元率は、およそ0.5%が標準的です。貯まったポイントは商品やマイル、他社のポイントなどと交換することができ、実質的な経費削減につながります。
キャッシュフローを改善できる – ビジネスカードのメリット
キャッシュフローとは?
現金の出金・入金の流れのことをキャッシュフローと言います。事業経営において、自由に使えるキャッシュ(現金)をある程度残しておくことはたいへん重要です。堅実な経営をしている会社は、必ずキャッシュフローが安定しています。
経費をビジネスカード決済にまとめると、引き落とし日はカード利用日より1~2ヶ月ほど先となります。支払いまで猶予があるほど、キャッシュフローの改善に効果的です。ビジネスカードを使うことが、安定経営のサポートとなります。
ショッピング利用枠が個人用カードよりも大きい
ビジネスカードのショッピング利用枠は、多くの場合個人用クレジットカードの上限額よりも大きくなっています。急な支出にも対応できる利用枠設定が可能です。大規模な仕入れや設備投資などのためにカードを利用することもできるでしょう。
現在、毎月どの程度の経費支払いがあるかを確認してみてください。その上で、経費管理を一枚でまかなえるビジネスカードを選ぶことをおすすめします。
経費管理が合理化できる – ビジネスカードのメリット
従業員用に追加カードを発行できる
ビジネスカードの多くは、従業員用にカードを追加発行することができます。追加カードを発行すると、カードの利用者ごとに利用明細書が届きます。利用金額や利用店舗が日付順に記載されており、何にどう経費を使ったかのチェックが簡単にできます。
また、営業車を利用している場合はETCカードの発行も検討してみましょう。多くのビジネスカードでETCカードを追加発行が可能です。ほとんどのカードにおいて、ETCカード発行手数料無料・年会費無料です。
ETC・追加カードに強いビジネスカード – 車利用のコスパで比較
仮払いや立て替えが不要になる
従業員が追加カードを利用できると、交通費・出張費・接待費などの仮払いや立て替えが不要になります。小口現金の出納業務を減らせる上、経費の不正利用を防ぐ働きも期待できます。
会計ソフトにデータを移して処理できる
クラウド会計ソフトを利用している企業も多いことでしょう。ビジネスカードのデータは、会計ソフトと自動で連動させることができます。支払いデータをソフトに転記する手間や転記の際のミスを減らすことが可能です。経理業務に割いていた時間や労力を本来の業務に向けることができます。
経費削減ができる – ビジネスカードのメリット
ビジネスカードの利用により、経費支払いを一本化することが可能です。銀行振込や引き落としで行なっている支払いも、できる限りビジネスカード支払いに切り替えると良いでしょう。公共料金など、複数の支払先に支払っていた振込手数料を削減できます。振込の手間もなくなります。
また、ビジネスカードに付帯している旅行保険が利用できると、保険費も節約できます。ポイントを貯めてマイルに交換できたりすると、出張の際の航空運賃などに充てていくことも可能です。福利厚生代行サービスがあるなら、従業員の福利厚生費の節減もできます。
ビジネスカードの付帯サービスで経費節約となる例には、以下のようなものがあります。
- 国内・海外旅行保険(保険費)
- ポイント還元によりマイルを貯める(出張費)
- ホテル予約優待(出張費)
- レストラン優待(接待交際費)
付帯サービスの有無はビジネスカードにより異なります
ビジネスカード特典がついてくる – ビジネスカードのメリット
ビジネス利用に便利なサービスが付帯されているのも、ビジネスカードのメリットの一つです。国際ブランドであるVISAやMastercardを搭載しているビジネスカードには、各ブランドの法人利用向け特典を利用できます。サービスの一部を紹介しましょう。
VISA 「ビジネスオファー」
- ビジネスグルメオファー 接待で利用できる全国の提携レストラン優待予約、割引特典
- 東武トップツアーズの旅行企画商品「Feel」の3%割引
- オフィス用品通販、オフィス・デポ・ジャパンの3%割引
Mastercardには以下のようなビジネスカード特典があります。
Mastercard 「ビジネス・アシスト」
- 経理処理システム「経費Bank」の導入費無料、「eKeihi」の登録費無料
- じゃらんコーポレートサービス 限定プラン利用、じゃらん限定ポイント加算
- JTBベネフィット 会員制の福利厚生サービスで入会金割引
他にも、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カードには以下のようなビジネスカード特典があります。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カードの主なビジネスカード限定特典
- ビジネス情報調査代行サービス 年会費無料(登録制)
- ビジネス・コンサルティング・サービスで経営相談が可能
- ビジネス情報提供サービス「ジーサーチ」無料(登録制)
カードにより審査が厳しい – ビジネスカードのデメリット
どんなクレジットカードでも、発行の際には審査があります。今は、カードを申し込む代表者個人の信用度を重視するカードが増えており、財務書類が不要な場合も多くなっています。個人信用度は、「過去のクレジットカード利用にトラブルがないか」「延滞なく返済していたか」などを確認して判断されます。
審査基準はカードにより異なり、詳細は公開されていません。ビジネスカードの審査通過に不安がある場合は、「開業すぐでも申し込める」「赤字でも申し込める」といったハードルの低さをアピールしているカードを検討してみると良いでしょう。
審査が厳しくないビジネスカード
カードにより年会費が負担 – ビジネスカードのデメリット
ビジネスカードの年会費もカードによりさまざまです。年会費無料のカードもありますし、年会費1,000円~2,000円程度のビジネスカードは少なくありません。
年会費無料のビジネスカード
以下の3つは、年会費が初年度無料のビジネスカードです。
年会費が初年度無料のビジネスカード
- 三井住友ビジネスカード for Owners (2年目以降 1,250円)
※条件を満たせば翌年度以降も年会費無料 - JCB法人カード (2年目以降 1,250円)
- オリコ EX Gold for Biz M (2年目以降 2,000円)
設立して間もない会社や数名規模の零細企業では、出費はできるだけ抑えたいから年会費負担は避けたい、と考える方も多いことでしょう。まずは「年会費無料のカード」あるいは「初年度年会費無料」のカードを申し込んでみて、ビジネスカードの使い勝手を試してみてもいいかもしれません。