電子決済サービスのApple Payは、クレジットカードを登録して使います。VISAのカードも登録可能で、ショッピングなどで便利に使えます。ただ、実はオンライン決済では使うことができません。Apple PayでVISAカードができることとできないこと、一部の機能が使えない理由を説明します。
目次
国際ブランドとは?
「VISA」や「MasterCard」は、国際ブランドの種類です。国際的に通用する決済システムを運営している会社です。日本で利用者の多いものには、以下の5社があります。
- VISA
- MasterCard
- JCB
- American Express
- Diners Club
この5社は、日本国内だけでなく世界で利用できるカード決済システムを持っています。カードにより国際ブランドの選択肢は決まっていて、どのブランドにするかはカード発行時に選択します。搭載されると、カードの表面の右下にロゴが入るので、なんの国際ブランドなのかはすぐわかるはずです。
VISAはこの中でもトップブランドです。国際ブランドを一枚だけ持つならVISA、とすすめられることも多く、世界中どこへ行っても便利に使えます。そのVISAが、Apple Payのサービスに一部対応していないというのはどういうことでしょうか。
VISAカードはApple Payでオンライン決済ができない
「Apple Payでのオンライン決済」とは、アプリ上の決済・Webでの決済です。ネットでのショッピングやチケット購入、旅行の予約と決済など、さまざまなサービスがApple Payに対応しています。これらの決済に、VISAカードを利用することができません。
VISAカードをApple Payに登録した場合
できること | できないこと |
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たとえば、三井住友カードの「Apple Payが使えるお店」には、こう明記されています。
「Apple Payが使えるお店 / オンライン(アプリケーション内・Web上)
MasterCardをお持ちのお客さまは、Apple Payに対応したオンラインショッピングが利用できます。」(三井住友カード公式サイトより)
三井住友カードといえば、「三井住友VISAカード」と歌えるくらいVISAと親和性の高い会社なのですが、「MasterCardであれば使えます」という言い方を選んでいます。VISAは使うことができないからです。
店頭での支払いはVISAカードでも問題ありません。お店や施設でiPhoneを出して会計をすることは可能です。なお、Suicaのチャージというのはオンライン決済扱いになるため、VISAカードではできません。(Walletアプリではなく、SuicaアプリにVISAカードを登録すればチャージは可能です)
ビジネスカードとApple Pay、Suica・iD・QUICPayの関係を整理しよう
Apple Payに対応しているカードとは?
Apple Payには、登録できるカードと登録できないカードがあります。登録できるカードでも、国際ブランドがVISAの場合には先述したように機能が制限されます。
Apple Payに対応するかどうかは、カード発行会社によって決まっており、国際ブランドによって決まるわけではないことを覚えておきましょう。なお、ビジネスカードではApple Payに登録できるものがあまり多くはありません。
Apple Payに登録できるビジネスカード
手持ちのカードがApple Payに対応するとわかったら、Walletアプリに登録して使うことができます。その上で、「国際ブランド」を確認してみてください。
VISAがApple Payの機能に対応していない理由
Apple Payが日本でサービスを開始した時、「対応するクレジット会社」のロゴ一覧の中にVISAがなくてちょっとした話題になりました。なぜVISAでは使えないサービスがあるのでしょうか。それは日本が「FeliCa(フェリカ)」という独自規格を採用していることに関係しています。
FeliCa(フェリカ)技術とは
FeliCaは「非接触型ICチップ」の方式の一つです。ソニーが開発した規格で、SuicaやWAONなど、日本の主要な電子マネーで使われています。ガラパゴス化が生んだ技術で、主流の国際規格よりも処理速度が早いのが特徴です。欧米で主流となっている国際規格「NFC(TypeA/B)」は、日本ではほとんど使われていません。
Appleは、日本市場向けにFeliCaに対応したサービスを開始しました。VISAはNFC(TypeA/B)をサポートしているため、日本のApple Payに今のところ未対応なのです。
Appleが「日本仕様」とも言えるFeliCa対応チップを採用したのはなぜなのでしょうか。理由は公表されていませんが、「日本市場でiPhoneのシェアが高いこと」「FeliCaが高性能であること」などが推測されています。
VISAカードでも店頭決済ができる理由
そうはいってもVISAカードもApple Payに登録でき、店頭での支払いではふつうに使えます。実はこれ、店頭決済では電子マネー「iD(アイディー)」もしくは「QUICPay(クイックペイ)」を使うからです。
iDとQUICPayは後払い方式の電子マネーです。クレジットカードと紐づけて使われ、利用代金は他のカード利用分と一緒に後から引き落とされます。
Apple Payに登録したクレジットカードは、iDもしくはQUICPayが割り振られていて、このシステムを通して店頭決済が行われます。決済はクレジットカードと異なり、読み取り機にiPhoneをかざすだけで完了します。VISAの決済システムは使いません。
オンライン決済はVISAの決済システムを使う必要があります。そのため、「VISAカードによるApple Payのオンライン決済は不可」となっているのです。
Apple Payに登録可能な枚数
Apple Payには最大8枚まで、iPhone 8、iPhone X、Apple Watch Series 3 以降は12枚までカードを登録することができます(Suicaなども含む)。もし、VISAカード以外のカードを持っているのであれば、複数枚登録して使い分けてみてもいいかもしれません。
店頭決済の時はメインのVISAのカードを使い、オンライン決済の時だけ他のブランドのカードにする、という使い方ができます。もちろん、ビジネスカードと個人用のカードを入れて経費と私用の支払いを分けたりすることも可能です。