確定申告では、一年間の収入から経費や控除を差し引き、課税の対象となる「課税所得」を求めた上で、必要な納税額を算出します。
目次
確定申告の5ステップ
個人事業主の確定申告は、大きく分けて以下の5ステップで完了します。
ステップ1 | 確定申告書類の準備 | 税務署などで自分に必要な申告書類を手に入れる |
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ステップ2 | その他の必要書類の準備 | 証明書など、控除の申請等に必要な書類を準備する |
ステップ3 | 確定申告書の作成 | 会計ソフトなどを利用して、申告書を作成する |
ステップ4 | 確定申告書類の提出 | 期限内に所定の方法で提出する |
ステップ5 | 税金の納税・還付 | 確定額を納付し、還付金がある場合は順次受け取る |
ステップ1. 確定申告書類を準備する
まずは、確定申告に必要な確定申告書を準備します。申告書は税務署で受け取れるほか、国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。
確定申告書には、AとBの2種類があります。申告書Aは、給与所得者などに利用者を限定した簡易的な内容です。個人事業主の場合、すべての所得の種類に対応した申告書Bを使用しましょう。
申告書Bは、第一表と第二表からなります。基本的には、第一表と第二表のみ提出すればOKです。その他の第三表、第四表、第五表は、特定の条件に当てはまる場合のみ提出します。自分に必要な用紙をもれなく準備しておきましょう。
主な確定申告書の種類
第一表(申告書B) | 所得や控除、税金の計算などを記載し、全員が提出する |
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第二表(申告書B) | 所得と控除の内訳や、事業税、住民税に関して記載し、全員が提出する |
第三表 | 株式や土地建物の譲渡などによる所得がある際に提出する |
第四表 | 事業の赤字や災害による損失を繰り越す際に提出する |
第五表 | 申告漏れなどがあった際、修正のために提出する |
個人事業主の確定申告の際には、申告書Bに加えて、白色申告であれば「収支内訳書」が、青色申告の場合には「青色申告決算書」が必要になります。税務署で受け取るか、国税庁のホームページからダウンロードしておきましょう。
ステップ2. その他の必要書類を準備する
確定申告で控除を受けるためには、その控除の条件に該当することを証明する書類の添付、または提示が必要になります。そうした証明書類が必要になるのは、主に以下のような場合です。
配当所得がある場合 | 支払通知書や特定口座年間取引報告書など |
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医療費控除を受ける場合 | 医療費控除の明細書など |
社会保険料控除を受ける場合 | 社会保険料控除証明書など |
生命保険料控除を受ける場合 | 支払額の証明書など |
寄附金控除を受ける場合 | ふるさと納税をした際の寄附金受領証など |
経費の領収書や源泉徴収票などは、基本的に提出不要です。しかし、こうした一部の書類や帳簿は、一定期間の保管が義務づけられています。保管が必要な書類とその保管期間は、条件に応じて以下のように定められています。
保管が必要になる主な書類 – 白色申告の場合
保管する書類 | 保管期間 | |
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帳簿 | 収入や経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
業務に関して任意で作成した帳簿(任意帳簿) | 5年 | |
書類 | その他の書類(領収書、請求書、納品書、棚卸表など) |
保管が必要になる主な書類 – 青色申告の場合
保管する書類 | 保管期間 | |
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帳簿 | 主帳簿(仕訳帳、総勘定元帳)とすべての補助簿(現金出納帳など) | 7年 |
書類 | 決算関係書類(貸借対照表、損益計算書、棚卸表など) | |
現金預金取引等の関係書類(領収書、請求書、預金通帳など) | 7年(※) | |
その他の書類(見積書、契約書、納品書など) | 5年 |
※前々年の所得が300万円以下の場合は5年
ステップ3. 確定申告書を作成する
書類の準備ができたら、確定申告書を作成していきます。会計ソフトなどを利用すれば、こちらの作成は難しくありません。日頃から会計ソフトで帳簿づけを行っていれば、その内容が反映され、簡単に申告書を作成することができます。
手書きで申告書を作成する場合は、収支内訳書や青色申告決算書をもとに、ひとつずつ記入していきます。
会計ソフトとは?
会計ソフトとは、日々の帳簿から確定申告書類まで、一貫して作成できるソフトのこと。個人事業向けの製品も多く出回っています。
近年では、インターネットを利用することで利便性を高めた「クラウド型」の会計ソフトが主流となっています。会計業務の効率化が大いに期待できるため、個人事業主の方には導入をおすすめします。
青色申告対応の初心者向きソフトはどれ?マネーフォワード・弥生・freee
ステップ4. 確定申告書類を提出する
確定申告書類が完成したら、添付書類と合わせて提出します。提出先は、基本的にその時の住所がある地域を管轄する税務署です。
確定申告書類は、税務署に持参するか、郵送で提出します。会計ソフトを活用すれば、インターネットで「電子申告」をすることもできます。提出期間は2月16日~3月15日ですが、その年の土日祝日によっては後ろ倒しになる場合もあるので確認しておきましょう。
確定申告で必要な提出物
白色申告の場合 | 青色申告の場合 |
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期限内に確定申告ができない場合
期限に遅れて確定申告をすると、「期限後申告」として扱われます。期限後申告の場合、最大で20%の「無申告加算税」がかかることがあるので注意しましょう。
期限後申告になると、青色申告特別控除は10万円しか適応されません。65万円を希望していた場合でも、10万円に減額されてしまいます。また、期限後申告が数年続くと、青色申告の承認が取り消されてしまうこともあります。
ステップ5. 税金を納付し、必要に応じて還付を受ける
確定申告書類の提出が完了したら、算出した税額を納付します。納付書を税務署や銀行に持参して、期限内に納付しましょう。事前に申し込んでおけば口座引き落としでも納付ができます。
納付期限は、税金の種類によって異なります。とくに通知などが届かないものもあるので注意しましょう。主な税金の納付期限は以下のとおりです。
対象 | 納付期限 | 通知 | |
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所得税 | 課税所得のある全ての人 | 3月15日 (確定申告の期限と同じ) |
無 |
消費税 | 前々年の課税売上が1000万円超の人など | 3月31日 | 無 |
住民税 | ほぼ全員(自治体の規定による) | 6月一括 or 分割 (6,8,10,翌1月) |
有 |
個人事業税 | 前年の事業所得が290万円超のほぼ全ての人 | 8月一括 or 分割(8,11月) | 有 |
なお、所得税の還付が受けられる場合は、確定申告書Bに自分の口座を記入しておけば、提出の約一ヶ月後に振り込まれます。
納付期限を過ぎた場合
納付期限を過ぎると、別途「延滞税」が加算される場合があるので注意しましょう。
どうしても納付が間に合わない場合は、一定の条件を満たせば延納措置を受けることもできます。ただしこの場合も、延滞税ほどではありませんが「利子税」がかかります。