確定申告の方法は、「直接提出」「郵送」「電子申告」の3通りに大別できます。今回は、それぞれの概要とメリット・デメリットについてまとめました。
確定申告の方法
確定申告の義務がある人は、原則2月16日~3月15日の確定申告期間中に、以下のいずれかの方法で申告します。
- 納税地の税務署の窓口に確定申告書類を直接提出する
- 納税地の税務署へ確定申告書類を郵送する
- e-Taxを使って確定申告データを送信する
「納税地の税務署」は原則、自宅から一番近い税務署です。ただ、特例として事業所などがある場合は、本来の納税地に代えて、事業所の所在地を納税地とすることができます。特例を受けるためには、本来の納税地を所轄する税務署へ届出が必要です。
直接提出する
直接提出する場合は、開庁時間内に必要書類を税務署の窓口へ提出します。税務署の開庁時間は原則、平日8時半から17時です。確定申告期間中は例年、いずれかの日曜日にも相談や提出を受け付けています。
直接提出のメリット
- 税務職員と対面で相談できる
- 申告と同時に納付もできる
- その場で受領印を押してもらえる
窓口で相談する場合は基本的に、平日の日中に足を運ぶ必要があります。そのうえ、確定申告時期の税務署はかなり混雑していて、長時間待たされる可能性が高いです。期限日直前は特に混雑するので、相談するなら2月のうちに済ませておくことがおすすめです。
補足
- 開庁時間外は税務署に設置されている「時間外収受箱」に書類を投函することができる
- 職員が配置された税務署内の特設コーナーで書類を作成し、そのまま提出できる
- 税務署外に相談会場を設けている場合もある
郵送する
確定申告書類を税務署へ郵送する場合は「郵便物」として送る必要があります。ゆうパックなどの荷物を送るサービスでは送付できません。必要書類は直接提出の際と変わりませんが、受領日付印が押された控えが必要な場合は、その控えと返信用封筒を添えて送付するとよいでしょう。
郵送のメリット
- ポスト投函の場合、提出時間の制限がない
- 期限ぎりぎりで郵送しても、日付印が期限日のものであれば期限内提出として扱われる
郵送だと、電子申告のように特別な準備をすることなく、いつでも必要書類を提出できます。ただ、不明点を対面で相談できないため、初心者にはおすすめできません。一応、税務署は電話相談を受け付けてはいますが、確定申告時期は繋がりにくいです。
補足
- 本人確認書類は、そのコピーを同封すればよい
- 返信用封筒を同封する場合は自身の住所を記入し、切手を貼っておくとよい
- 最終期限日でも、郵便ポストの集荷時間までに投函しておけばセーフ
e-Taxを使って電子申告する
電子申告は、申告書などを電子データの形式で、インターネットを通じて送信する方法です。データの送信には、必ず「e-Tax」を使います。e-Taxは、国税庁が提供する国税電子申告・納税システムのことです。
電子申告のメリット
- 自宅から24時間申告できる
- 添付書類のほとんどを省略できる
- 還付が早めに受けられる
- 「青色申告特別控除」における電子申告の要件を満たせる
電子申告を選択すると今後の確定申告がラクになりますが、事前準備には相応の手間がかかります。たとえば、推奨環境を満たしたパソコンの導入や、本人認証が必要です。はじめて電子申告する場合、余裕をもって準備しておきましょう。
補足
- 本人認証は、税務署での事前手続きか、マイナンバーカードを使って行う
- 添付を省略した書類は、5年間保存する義務がある
- 添付を省略できない書類でも、PDF形式での送信が認められている
電子申告で控除額が増える
2020年分の確定申告から、青色申告特別控除の要件が変わり、控除額が3種類になりました。最高額である65万円の控除を受けるには、従来の65万円控除の要件に加え、電子申告か電子帳簿保存を行う必要があります。
3つの申告方法を比較
確定申告期間(原則2月16日〜3月15日)に行う申告について、3通りの方法を比較表にまとめると、基本的には下表のようになります。
直接提出 | 郵送 | 電子申告 | |
---|---|---|---|
提出時間 | 基本平日8時半~17時 | いつでも | いつでも |
提出場所 | 税務署 | 郵便局、郵便ポスト | どこからでも |
職員との対面相談 | できる | できない | できない |
還付までの目安 | 1~1ヶ月半 | 1~1ヶ月半 | 2~3週間 |
初心者におすすめの方法は、直接提出です。時間と場所の制限はありますが、疑問点を対面で相談できるうえに、提出時は必要書類が揃っているかチェックしてもらえます。郵送や電子申告の場合、疑問点は電話相談などで解決することになります。
確定申告に慣れている人は、郵送か電子申告がよいでしょう。電子申告は導入に多少の手間がかかりますが、一度慣れてしまえばその後の申告がラクになります。