白色申告者の税務を、大きく4つのステップに分けて説明します。確定申告には白色申告・青色申告の方式があり、とくに「青色申告にします!」と申請していなければ白色申告者に該当します。
目次
白色申告 4つのステップ
① 帳簿づけ | 日々の取引を単式簿記によって記録する 収入や必要経費に関する帳簿は作成が必須 |
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② 書類作成 | 帳簿をもとに確定申告書類を作成する 主な書類は「収支内訳書・確定申告書B・添付書類台紙」の3つ |
③ 書類提出 | 作成した確定申告書類を税務署に提出する 提出方法は「直接提出・郵送提出・電子申告」の3種類 |
④ 所得税納付 | 確定申告によって確定した所得税額を納付する 現金納付、振替納税、クレジットカード納付などが選べる |
確定申告で帳簿や領収書を提出する必要はありません。ただ、申告後も重要な帳簿は7年、領収書なども5年にわたって保存しておく義務があります。
① 帳簿づけ (1月1日~12月31日)
白色申告で作成する帳簿は、大きく「法定帳簿」と「任意帳簿」に分けられます。「法定帳簿」については、全ての白色申告者に作成が義務づけられています。一方「任意帳簿」は、必要な人だけが作ればよいです。
法定帳簿と任意帳簿
法定帳簿 | 収入や必要経費について記録する帳簿 |
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任意帳簿 | 個々の状況に応じて、任意で作成する帳簿 |
単式簿記について
帳簿のつけ方には、大きく「単式簿記」と「複式簿記」の方式がありますが、白色申告の場合は「単式簿記」でOKです。単式簿記は、一般的な家計簿などと同じ形式で、比較的簡単な記帳方法だと言えます。
売上の記帳例 – 商品Aを10万円で売ったとき
日付 | 売上高 | 摘要 |
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20XX年8月5日 | 100,000 | 商品A 売上 |
必要経費の記帳例 – 事業用のファイルを1,000円で買ったとき
日付 | 消耗品費 | 摘要 |
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20XX年8月17日 | 1,000 | ファイル |
② 確定申告書類の作成 (翌年1月1日以降)
1年間の取引を記録した帳簿をもとに、確定申告書類を作成します。作成する主な書類は「収支内訳書」「確定申告書B」「添付書類台紙」の3つです。
これらの書類は国税庁の該当ページからダウンロードできるほか、税務署などでも入手できます。
作成する主な書類
収支内訳書 (一般用) |
事業によって得た所得(事業所得)を算出する書類 収入や必要経費などを記入する |
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確定申告書B | 納税額を算出し確定する書類 所得や所得控除などを記入する |
添付書類台紙 | 申告に必要な証明書等を貼り付ける台紙 本人確認書類や控除の証明書・明細書などを添付する |
申告書類は、確定申告期間(原則2月16日~3月15日)の提出に間に合うように作成しましょう。確定申告期間が始まる前に作成しても全く問題ありません。
③ 確定申告書類の提出 (2月16日から3月15日まで)
作成した申告書類は、原則として毎年「2月16日~3月15日」の確定申告期間に税務署へ提出します。提出方法は大きく下記の3種類で、好きな方法を選べます。白色申告の場合、どの方法で提出しても納税額は変わりません。
白色申告と青色申告の違い
3つの提出方法
税務署へ持参する |
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税務署へ郵送する |
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e-Taxで電子申告する |
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「e-Taxで電子申告」とは?
- 「e-Tax」というシステムを介して、オンラインで申告書を提出する方法
- ウェブ上の「確定申告書等作成コーナー」などから利用可能
- 確定申告期間中は基本的に24時間受付
- e-Taxを利用するには本人確認などの事前準備が必要
④ 所得税の納付(3月15日まで)
確定申告によって納税額が確定したら、その額を納付します。納付期限は、確定申告期限と同じく原則「3月15日」です。納付方法は任意で選択でき、どの方法でも納税額に違いはありません(ただし、クレジットカード納付には手数料がかかる)。
主な納付方法
窓口納付 | 税務署や銀行の窓口で現金納付する方法 所定の納付書を作成する必要がある |
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コンビニ納付 | コンビニのレジで現金納付する方法 納付額の上限は一度につき30万円まで |
振替納税 | 口座振替で納付する方法 納付期限日までに事前申請が必要 |
クレジットカード納付 | 専用サイトからカードで納付する方法 1万円ごとに税込83円の手数料がかかる |
電子納税 | e-Taxを利用してオンラインで納付手続きを行う方法 e-Taxの開始手続が必要(主には電子申告をした人向け) |
「振替納税」を選択する場合は、納付期限日(原則3月15日)までに、税務署へ「振替依頼書」を提出しておきましょう。なお、電子納税を利用するには「e-Tax」の利用開始手続きを済ませておく必要があります。
帳簿や領収書などは必ず保存しておく
確定申告を済ませても、帳簿や書類は原則として紙の状態で保存しておかなければなりません。保存期間は、帳簿や書類の種類に応じて「5年」か「7年」です。
帳簿や書類の保存期間(白色申告の場合)
概要 | 保存期間 | |
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法定帳簿 | 収入や必要経費について書く帳簿 | 7年 |
任意帳簿 | 個々の状況に応じて任意で作成する帳簿 | 5年 |
その他の書類 | 領収書・請求書・納品書など |
税務調査を受ける際、帳簿類が手元にないと、必要以上に税金を課されるおそれがあります(推計課税)。ひとまず、まとめて「すべての帳簿類を7年間保存する」と決めておくと安心でしょう。
まとめ
白色申告の流れにおける重要ポイント
- 確定申告書類は「1月1日~12月31日」の帳簿をもとに作成する
- 開業年の帳簿は「開業日~12月31日」でOK
- 確定申告期間は原則「2月16日~3月15日」
- 書類はいつ作ってもよいが、1月ごろに新様式が発表される場合もある
- 確定申告期間後でも書類提出はできる
- 納付が遅れると追加の税金を課される可能性あり