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フリーランスの社会保険料控除について – 所得控除の基本

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2021/04/19

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社会保険料控除とは?【個人事業主向け】

フリーランスの場合、国民年金・国民健康保険・介護保険の保険料などが、社会保険料控除の対象となります。社会保険料控除を受けるには、確定申告の際に控除額を申告し、必要に応じて書類を添付するだけでOKです。

社会保険料控除の概要

社会保険料控除は、所得控除の1つです。1年間に支払った社会保険料の全額を、所得から差し引くことができます。

社会保険とは?

社会保険は、以下の5つに分けられます。

  • 年金保険……高齢、障害、死亡に対して補償する保険(「国民年金」など)
  • 医療保険……怪我、病気、出産、死亡を補償する保険(「国民健康保険」など)
  • 介護保険……高齢や障害など要介護者向けの保険
  • 労災保険……通勤中や業務中、従業員に発生した怪我、病気、死亡を補償する保険
  • 雇用保険……従業員の雇用安定や促進に対する保険

従業員を雇っていないフリーランスは、年金保険・医療保険にのみ、保険料を支払います。
40歳からは、介護保険料も支払うことになります。

個人事業主が加入する社会保険

所得控除とは?

  • 所得控除は、所得金額から差し引かれる金額のこと
  • 基本的には所得控除が多いほど、節税に繋がる
  • 所得控除には、他にも多くの種類あり(基礎控除、医療費控除、配偶者控除など)

所得控除の一覧表【個人事業主向け】

控除の対象となる主な保険料

フリーランスの場合、社会保険料控除の対象となる主な社会保険料は、以下の通りです。支払った保険料の全額を、社会保険料控除に算入できます。

  • 国民年金
  • 国民健康保険
  • 介護保険
  • 後期高齢者医療保険

介護保険料は、40歳から64歳の間に納めるものです。納税者が手続きをする必要はなく、40歳からは国民健康保険料に上乗せされます。また、健常のままで75歳になると、自動的に国民健康保険を抜け、後期高齢者医療保険に切り替わります。

こんな支払いも控除にできる!

以下のような保険料も、その年の社会保険料控除に算入できます。

  • 生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った社会保険料
  • 国民年金の前納分&追納分の保険料
  • 脱サラした年に個人事業主になった場合のサラリーマン時代の社会保険料

「生計を一にする配偶者その他の親族」とは?

基本的に、同居している家族は「生計を一にする配偶者その他の親族」と言えます。また別居している家族であっても、別居者に対して生活資金が送金されている場合など、一定の場合にはこれに当てはまります。

「国民年金の前納&追納」とは?

  • 前納……保険料をまとめて前払いできる制度
  • 追納……保険料納付の免除や猶予などを受けた場合、未払い分の保険料を後から納付できる制度

脱サラした年にフリーランスになった場合

会社を退職した年にフリーランスになった場合、その年のサラリーマン時代に天引きされていた保険料(厚生年金、健康保険、雇用保険など)も、社会保険料控除に算入できます。

例えば5月に会社を退職した場合、1~5月に天引きされていた厚生年金なども、その年の社会保険料控除の対象となるわけです。

確定申告で控除額を申告する流れ

社会保険料控除を受けるには、確定申告書に必要事項を記入し、納付証明書を添えて税務署に提出します。

① 書類に控除額を記入 確定申告書Bに社会保険料控除の控除額を記入する
② 必要に応じて納付証明書を添付 基本的に、書類添付が必要なのは国民年金のみ
国民健康保険・介護保険の納付額証明書などは添付不要
③ 申告書類を提出 税務署に確定申告書類を提出
確定申告期間は原則2月16日~3月15日

もちろん、インターネット上での確定申告(電子申告)を行う場合でも、社会保険料控除の申告は可能です。電子申告では、国民年金の場合であっても、基本的には納付証明書の添付を省略できます。

電子申告のメリット・デメリット

労働保険料は控除の対象?

個人事業主が従業員のために支払っている労働保険料は、社会保険料控除に含めることができません。その代わり、労働保険料は「福利厚生費」や「法定福利費」で仕訳をして、必要経費に計上することができます。

労働保険とは?

  • 労働保険は、5つの社会保険のうちの「労災保険」と「雇用保険」を合わせた呼び方
  • 従業員がいる個人事業主のみ、労働保険に加入する義務がある
  • 労働保険料は、事業主と従業員がともに負担する(事業主側のほうが負担額が大きい)

個人事業主が負担する労働保険料の割合はそれぞれ以下の通りです。個人事業主は、負担した労働保険料を、必要経費に計上できます。

  • 労災保険……全額を事業者が負担
  • 雇用保険……一定割合を事業者が負担

本来、これらは従業員のために加入するものです。ただし労災保険では、事業主が自身のために加入することを、特別に認められる場合があります。それについて事業主が支払った労災保険料は、社会保険料控除に含めることが可能です。

個人事業主自身も労災保険に加入できる(特別加入制度)

まとめ

社会保険料控除についての重要ポイントまとめ

  • 社会保険料控除は所得控除の1つ
  • 1年間で支払った全ての社会保険料が控除の対象となる
  • 同居している家族のために支払った社会保険料も、控除に算入できる
  • 国民年金の前納分&追納分も、控除に算入できる
  • 脱サラしたフリーランスは、その年のサラリーマン時代の保険料も、控除に算入できる
  • 社会保険料控除を適用するには、確定申告で控除額を申告する必要がある

社会保険料控除に算入できるのは、あくまでも「1年間に自らが支払った社会保険料」です。家族の給与から天引きされた社会保険料は、控除の対象外となるので、注意しましょう。

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