青色申告承認申請書(A4用紙一枚)の書き方を、①~⑬の項目に分け、順番に解説します。記入にかかる時間は、およそ5~10分程度です。「青色65万円控除」に関係する項目もあるので、自分のなかであらかじめ検討しておくとスムーズに書けます。
目次
「所得税の青色申告承認申請書」の記入例
※「現金式簡易簿記」で青色申告をしたい場合は、この申請書ではなく「所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」を提出してください。
控除額別の記入方法 – 青色申告特別控除
青色10万円控除 | 青色55万円・65万円控除 | |
---|---|---|
④青色適用の希望年 | 一般的には、提出する年を記入 | |
⑩ 簿記方式 | 簡易簿記 | 複式簿記 |
⑪ 備付帳簿名 | 現金出納帳 |
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提出する際には、原本とは別にコピーを用意しておくと、そちらにも受領印を押してもらえます。郵送の場合は、切手を貼った返信用封筒に自分の宛名・住所を記入し、コピーを添えて同封すれば、控えを送ってもらうことができます。
① 所轄税務署・提出日
所轄税務署は、納税地によって決まっています。この申請書の提出先も、所轄税務署となります。国税庁サイト「税務署の所在地などを知りたい方」のページで、納税地の郵便番号を入力すると所轄税務署が表示されます。
提出日欄には、この用紙を提出する年月日を記入します。ちなみに提出期限は、確定申告をする1年前の3月15日です(新規開業の場合は開業から2ヶ月以内でよい)。期限内に税務署に持参するか、郵送しましょう。
所轄税務署に行けば必ず用紙が置いてありますので、その場で記入・提出を済ませることも可能です。
② 納税地・電話番号
納税地とは、ひらたく言うと生活の拠点のことです。一般的には、住民票のある「住所地」が納税地となります。ただし、住所地とは別にお店や事務所がある場合は、そちらを納税地とすることもできます。「居所地」は、日本に住所がない海外在住の方向けの項目です。
電話番号は、固定電話・携帯電話・IP電話など、税務署からの連絡に速やかに応答できる番号を記入します。
納税地以外にも税務署からの連絡がほしい住所などがあれば、「上記以外の住所地・事業所等」の項目に記入しましょう。なければ空欄で構いません。
③ 氏名・生年月日・職業・屋号
氏名・生年月日・職業は必ず記入します。職業欄には規定がなく、自由に記載可能です。捺印は、個人の印鑑でも屋号の印鑑でも構いません(そもそも、2021年4月以降は押印の義務が廃止されている)。
屋号は空欄でも構いませんし、確定申告などによって、後から変更できる項目です。あまり思い悩む必要はありません。
④ 青色申告の適用を受けたい年
青色申告の適用を受けたい年を記入します。通常、この用紙を提出する年を記入します。ただし、申請期限を過ぎて提出する場合は翌年の年号を記入します。
⑤ 事業所又は所得の起因となる資産の名称及びその所在地
お店や事務所の名前・所在地を記入します。自宅の場合は所在地のみの記入で大丈夫です。記入欄が2つなので、3つ以上書く場合は、別の紙を自分で用意し、記入・添付してください。どんな用紙でも構いません。
⑥ 所得の種類
個人事業の場合、「事業所得」を選択します。「事業所得と不動産所得の両方ともあるのですが……」という人は、「事業所得」と「不動産所得」の両方を選択してください。「山林所得」も同様です。
⑦ いままでに青色申告承認の取消し・取りやめをしたことの有無
初めて申請する人は「無」です。税務署から青色申告承認取消しを受けたことがある場合や、自分で取りやめをして白色申告に切り替えたことがある場合は、「有」を選択し、その日付も記入します。
ちなみに、税務署から取消しを受けた場合は、1年間は再申請ができません。一方、自分で取りやめた場合には、そのようなペナルティは発生しません。いずれの場合も、再申請にはこの申請書を使用します。
⑧ 開業年月日
新規開業の場合のみ、開業日を記入しなければなりません。これは「開業届」に記入した日付と一致している必要があります。
以前から事業運営している場合は、空欄でOKです。
⑨ 相続による事業継承の有無
自分が始めた事業の場合は「無」を選択します。事業を継承する場合のみ、「有」にチェックを入れ、相続年月日と被相続人の氏名を記入します。なお、この場合の被相続人とは、事業継承がなされる以前の事業者を指します。
⑩ その他参考事項 (1)簿記方式
青色申告55万円または65万円控除を目指すかどうかで、簿記方式が異なります。
- 55万円・65万円控除……「複式簿記」を選択
- 10万円控除……「簡易簿記」を選択
選択に迷うところですが、どちらにするか最終的に決定するのは、確定申告のタイミングです。承認申請の段階では、あくまで現時点での心積もりを聞かれているにすぎないので、それほど悩む必要はありません。
複式簿記で55万円または65万円控除を受けるつもりだったが、結局難しくて簡易簿記になってしまった。このような場合は、単に10万円控除での確定申告になるだけで、罰則もありません。
逆も可で、簡易簿記で申請していても、要件を満たせば55万円・65万円控除を受けることができます。
⑪ その他参考事項 (2)備付帳簿名
前提として、この項目も前項と同様に、あくまで「参考事項」にすぎません。したがって、実際の確定申告で帳簿が増減したとしても、要件を満たせば控除を受けることができます。
青色申告55万円・65万円控除を目指す場合は、「総勘定元帳」「仕訳帳」を選択しておけば大丈夫です。その他の帳簿は、必要に応じて選択してもよいです。2つだけでは心配だという人は、下表を参考にしてください。
青色申告55万円・65万円控除の主な備付帳簿
備付帳簿名 | 内容 | |
---|---|---|
現金出納帳 | 補助簿 | 現金の取引を記入する |
売掛帳 | 掛売りや売掛金の回収状況を記入する | |
買掛帳 | 掛買いや買掛金の支払状況を記入する | |
経費帳 | 仕入れ以外の費用を記入する | |
固定資産台帳 | 固定資産の取得や移動を記入する | |
預金出納帳 | 銀行口座の入出金明細を記入する | |
総勘定元帳 | 主要簿 (必須) |
勘定科目ごとにすべての取引を記入する |
仕訳帳 | 取引の発生順にすべての取引を記入する |
青色申告10万円控除の場合は、「現金出納帳」のみでも構いません。もちろん、その他の帳簿を選択してもよいです。
⑫ その他参考事項 (3)その他
空欄で構いません。心配なことがあればここに書いておきましょう。
(例)原本のコピー及び返信用封筒を同封しますので、控えの返送を希望します。
⑬ 関与税理士
この書類を提出する時点で、税理士に依頼する予定がある場合は記入してください。
記入・提出時のポイント
「所得税の青色申告承認申請書」を記入するにあたって、「納税地」や「電話番号」など、税務署からの連絡に関わる部分には間違いのないよう、十分に注意しましょう。
「その他参考事項」など、あとで変更可能な部分については、それほど神経質になる必要はありません。青色55万円または65万円控除を目指すかどうかという観点から、整合性さえ取れていれば問題ありません。
記入時の要点
記入に困りそうな部分について、下表にまとめておきます。
青色10万円控除 | 青色55万円・65万円控除 | |
---|---|---|
② 納税地・電話番号 | 納税地欄には、住所地を記入するのが一般的 電話番号は携帯電話などでも構わない |
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④ 青色適用の希望年 | 通常は、提出する年を記入する | |
⑥ 所得の種類 | 個人事業の場合は、「事業所得」を選択 | |
⑩ 簿記方式 | 簡易簿記 | 複式簿記 |
⑪ 備付帳簿名 | 現金出納帳 |
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提出時の要点
直接税務署に持参するか、郵送することによって提出完了となります。提出期限は、確定申告をする1年前の3月15日です。
提出する際には、原本とは別にコピーを用意しておくと、そちらにも受領印を押してもらえます。郵送の場合は、切手を貼った返信用封筒に自分の宛名・住所を記入し、コピーをっ添えて同封すれば、控えを送ってもらうことができます。