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簿記未経験でも分かる!単式簿記と複式簿記の違い

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2021/03/02

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簿記未経験でも分かる!単式簿記と複式簿記の違い

「単式簿記と複式簿記の違い」や「簿記の基本」について、分かりやすくまとめました。 個人事業では、白色申告の場合は「単式簿記」で帳簿付けします。一方、青色申告で55万円または65万円控除を受けるためには「複式簿記」による帳簿付けが必須となります。

そもそも簿記とは?

簿記とは、日々の業務上の財産の増減を、帳簿に記録しておくことです。個人事業主の確定申告では、帳簿の作成が義務付けられています。また、帳簿を1年分まとめておき、毎年の確定申告の度に納税額を計算して、税金を納付する必要があります。

また簿記には、単式簿記と複式簿記の2つの記帳形式があります。これらの違いについては後ほど説明します。

簿記と会計の関係

簿記について説明するにあたり、簿記と会計の関係性は重要なので、まずはここから説明します。

大まかにいうと、「会計」の中に「簿記」があります。会計とは、年間の事業の財務状況を報告することです。簿記とは、会計の報告材料として、日々のお金の増減を帳簿付けして記録に残しておくことです。

記帳するのは日々の取引内容

簿記の記帳内容は、業務における財産の増減、つまり日々のお金の出入りについてです。簿記ではこのお金の出入りのことを「取引」と呼びます。

取引と勘定

簿記における取引は、帳簿付けをスムーズに行うために、性質ごとに5つのグループに分けられています。これらのグループのことを「勘定」と呼びます。勘定ごとの大まかな内容は以下の通りです。

5つの勘定とその内容

勘定名 内容
資産 保有している財産
負債 返済義務のあるお金(借金など)
資本(純資産) 返済義務のないお金(出資金・利益)
収益 財産が増加した原因
費用 財産が減少した原因

勘定科目とは

簿記では、取引の内容を分かりやすく記録するために、勘定科目を利用します。勘定科目とは、勘定を特徴ごとに更に細かく分けたものです。それぞれの勘定の、主な勘定科目は以下の通りです。

勘定ごとの主な勘定科目

勘定 主要な勘定科目
資 産 現金、預金、売掛金、建物 など
負 債 買掛金、未払金、預り金、借入金 など
資 本 資本金(元入金)
収 益 売上高、雑収入 など
費 用 商品仕入高、給料、旅費交通費、消耗品費 など

単式簿記と複式簿記の違い

では次に、単式簿記と複式簿記の違いについて解説します。まず、2つの大きなポイントをまとめると以下のようになります。

  • 単式簿記:お金の出入りのみの記録、簡単
  • 複式簿記:お金の出入りする原因と結果の記録、難しい

では次に、2つのそれぞれの特徴について、もう少し踏み込んで説明します。

単式簿記とは

単式簿記とは、1つの取引について、1つの勘定科目の増減のみに注目して記帳する方法です。

単式簿記の身近な例として、銀行の預金通帳や家計簿が挙げられます。これらは、預金通帳ならば「残高」に、家計簿ならば「収支」に、それぞれ注目して作られています。シンプルな仕組みなので、複式簿記と比べて簡単でわかりやすいのも特徴です。

単式簿記の記入例

日付 勘定科目 金額 摘要(その費用の内容)
20XX/1/20 旅費交通費 ¥4,000 〇〇自動車㈱ タクシー代
東京駅~㈱△△

これは単式簿記で、タクシー代4,000円を帳簿付けした例です。このように単式簿記では、タクシー代として旅費交通費を4,000円使った、ということだけを表すことができます。

複式簿記とは

複式簿記は、1つの取引を2つの面から捉えます。取引を「借方」と「貸方」と呼ばれる2つに分けた後、それぞれを勘定科目で細分化して帳簿に記録します。取引を2つの面から捉える必要があるので、複式簿記は単式簿記よりも難易度が高いです。

複式簿記の「仕訳」とは

複式簿記において、取引を借方と貸方に分けることを「仕訳」と呼びます。借方にはお金をどう活用したか(結果・目的)を、貸方にはお金をどこから持ってきたか(原因・手段)を、それぞれ仕訳します。仕訳をすることで、お金が動いた原因と結果を帳簿上に示すことができます。

この内容は文章だと分かりにくいので、下の記入例を見てみましょう。

複式簿記の記入例

日付 借方 貸方 摘要
勘定科目 金額 勘定科目 金額
20XX/1/20 旅費交通費 ¥4,000 現金 ¥4,000 〇〇自動車㈱
タクシー代
東京駅~㈱△△

これは、複式簿記で、タクシー代4,000円を記帳した例です。複式簿記の場合は、以下の内容を表すことができます。

  • 「費用」という勘定の勘定科目「旅費交通費」が4,000円増加
  • 「資産」という勘定の勘定科目「現金」が4,000円減少

なお、仕訳および複式簿記についてのより詳しい内容は、別記事でご紹介します。

勘定の仕訳方法

なお仕訳では、5つの勘定(資産・費用・負債・資本・収益)を、以下のように分解します。

借方 貸方
  • 資産
  • 費用
  • 負債
  • 資本(純資産)
  • 収益

確定申告における申告方法別の記帳形式

ここまででお伝えしたとおり、簿記には単式簿記と複式簿記があります。個人事業主が、どちらの記帳形式を選ぶ必要があるのかについては、ご自身が選択した確定申告の申告方法によって異なります。

確定申告の方法別の記帳形式

白色申告 青色申告
10万円控除の場合 55万円・65万円控除
記帳形式 単式簿記 単式簿記 複式簿記

個人事業における、確定申告の申告方法別の記帳形式をまとめると、以上のようになります。白色申告の場合・青色申告の10万円控除の場合に関しては、単式簿記で問題ありません。一方で、青色申告の55万円・65万円控除の場合は、複式簿記が必須となります。

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