通信費とは
事業で使用する電話やインターネットなどの費用は「通信費」として経費に計上できます。一般的には、下記のような費用に「通信費」の科目が使われています。
通信費の具体例
電話関係 | インターネット関係 | 郵便関係 |
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通信費の消費税区分は基本的に「課税」です。例外として、国際電話や国際FAXなど、海外への通信費用は「免税」となります。(消費税の納付義務がない免税事業者には関係ありません)
仕訳例① 基本的な記帳方法
事業でのみ使用している携帯の料金は、その全額を「通信費」として経費にできます。たとえば、前月分の携帯料金が引き落とされた際は、以下のように記帳しましょう。
単式簿記の記帳例
日付 | 通信費 | 摘要 |
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20XX年5月27日 | 12,000 | 4月分 携帯料金 |
確定申告の際に、55万円・65万円の「青色申告特別控除」を狙うのであれば、以下のように複式簿記で記帳しましょう。
複式簿記の記帳例
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
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20XX年5月27日 | 通信費 12,000 | 普通預金 12,000 | 4月分 携帯料金 |
携帯料金やインターネット料金は、上記のように「支払日(引き落とし日)」に記帳すればOKです。
家事按分が必要な通信費
事業とプライベートの両方に関わる支出は「家事按分(かじあんぶん)」をして、事業で使った分だけを経費に計上します。たとえば、公私で使う携帯の使用料や、自宅兼事務所のインターネット料金などが家事按分の対象です。
- 家事按分とは
- 公私にまたがる出費を、合理的な割合により「事業で使った分」と「プライベートで使った分」に分けること。経費に計上できるのは「事業で使った分」の金額だけ。
>> 家事按分について詳しく
家事按分は、適切な「按分比率」にもとづいて行う必要があります。按分比率とは、要するに「事業で使った分」の割合を指す言葉です。
按分比率のポイント
- 按分比率は事業主みずから決める
- 割合は客観的にみて納得できるものでなくてはならない
一般的に、携帯料金やインターネット料金の按分比率は、使用時間・使用日数などを基準に考えます。比率をテキトーに見積もっていると、税務調査などでツッコまれる可能性もあるので注意しましょう。
仕訳例② 家事按分をする場合の記帳方法
たとえば、1万円の携帯料金について、按分比率30%で家事按分をする場合は下記のように記帳します。なお、料金は事業用口座からの引き落としで支払うものとします。
携帯料金の仕訳例(按分比率30%)
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
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20XX年5月31日 | 通信費 3,000 | 普通預金 10,000 | 4月分 携帯料金 |
事業主貸 7,000 | 家事使用分 |
按分比率が30%なので、3,000円(1万円 × 30%)を「通信費」として経費に計上できます。残りの7,000円は経費にできませんが、事業用口座から引き落としたため「事業主貸」で記帳しておきましょう。
「事業主貸」は、事業用のお金をプライベートな目的で支出したときに使う科目です。簡単に言うと、事業主貸で記帳することによって「事業とは関係のない要因で事業用資金が減ったよ」と示しているわけです。
迷いやすい勘定科目
通信費と特に迷いやすい科目が「荷造運賃」です。特にルールが決まっているわけではありませんが、一般的に下記のように使い分けられています。
通信費と荷造運賃の区別方法(一般的な例)
荷造運賃 | 売上に直接関係するものを発送する際に使う 例:商品・製品の配送料など |
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通信費 | 売上とは直接関係のないものを発送する際に使う 例:領収書や請求書の郵送料など |
なお、下記のような費用は「通信費」以外の勘定科目で処理する場合も多いです。こちらも「〇〇費じゃなきゃダメ」などと決まっているわけではありません。
通信費と迷いやすい出費 | 勘定科目 |
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接待交際費 |
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消耗品費 |
このほか、通信費と他の科目で迷う費用があったとしても、帳簿の付け方に一貫性があればどちらで処理しても問題ありません。(継続性の原則)
まとめ
事業で使用する電話やWi-Fiなどの費用のほか、それらを導入するための初期費用も「通信費」として経費にできます。
通信費の具体例
電話関係 | インターネット関係 | 郵便関係 |
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事業用の携帯やオフィスのインターネット料金など、事業専用のものは全額「通信費」で経費に計上します。ただ、プライベートでも使用するのであれば、家事按分をして、事業で使った分だけを経費に計上しましょう。