ビジネスカードの審査では、申し込み本人の「信用度」が重視される傾向が強くなっています。信用度とは何か、どのように審査が行われるのかを解説します。
目次
ビジネスカードで審査されること
個人事業主が利用するビジネスカードは、一般的に「開業年」「事業実績」そして「申し込みした人の信用度」を審査すると言われています。最近はその中でも「申し込み本人の信用度」が重要性を増しています。
ビジネスカード発行の主な審査項目
- 開業年(事業開始からの期間)
- 事業実績(事業内容、利益の有無)
- 申込者の信用度(返済に対する信用性)
事業のために使うビジネスカードなので、事業内容や経営状況を確認されると予想している方は多いでしょう。しかし、一部のビジネスカードでは、申し込み本人の信用度さえクリアしていればカードが発行されます。
信用度をはかるものさしは何でしょうか。自分の信用度は高いのでしょうか? 低いのでしょうか? 気になりますね。…カード発行会社が個人の信用度を判断するために確認する情報、それは「クレジットヒストリー」です。
信用情報(クレジットヒストリー)とは
クレジットヒストリーとは聞きなれない言葉かもしれません。意味はそのまま「クレジットの歴史」です。今までのカードの使い方などによって、個人の信用度が判断されます。過去の返済が良好であれば、「カードを使ってもちゃんと返済してくれる人」という証明になるのです。
クレジットヒストリー、略して「クレヒス」は3つの信用情報機関に登録されています。クレジットカードを一度でも作ったことがあれば、その情報は必ず信用情報機関に登録されます。そして、取引の状況が記録されていきます。
カードの申し込みを受けた発行会社は、申し込み本人について信用情報機関に照会します。過去に返済トラブルがあれば審査に不利に働きますし、クレヒスが優良であれば審査に通る可能性が高くなります。
良いクレヒスと悪いクレヒスの例
ビジネスカードの審査に関わるクレヒスには、以下のようなものがあります。悪いクレヒスがあると、カード発行の難易度が増します。
良いクレヒスの例 | 悪いクレヒスの例 |
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良いクレヒスのポイントは、少額でもクレジットカードを毎月利用し、「返済が遅れたことがない」ということです。延滞がまったくなくても、年に1回しかクレジットカードを利用しないような場合は特別良いクレヒスにはなりません。「ふつう」レベルです。
過去に自己破産や連続の返済遅延があれば、審査での評価が下がります。注意しなければならないのは、「クレジットカードを作ったことがない」こともマイナスのクレヒスになるということ。30代以上の大人なのにクレジットカードの履歴がまったくないというのは、何かしらカードが作れない理由があるのでは… と思われる可能性があります。
また、カードでの延滞はなくても、携帯電話の料金を滞納していると信用度は下がってしまいます。携帯電話の分割購入もクレジット利用になるからです。
「申し込み本人の信用度」が重視される個人事業主
ビジネスカード発行会社にとって、個人事業主は、個人の延長といった位置付けにあります。個人の信用度さえ確かなのであれば、ビジネスカードがスムーズに発行されることは少なくありません。
カード申し込みの時に必要となる書類が「本人確認書類のみ」となっているビジネスカードがありますが、この場合は開業直後でも審査に通る可能性があります。中には、事業が赤字でも申し込めるカードもあります。
多くのビジネスカードは申し込みフォームに基本の事業情報(事業の種類、開業年など)を入力するようになっています。本人確認書類だけで申し込めるカードは、この申し込みフォームから得た情報を元に判断します。
クレジットヒストリーは育てることができる
クレヒスがあまり良くない、自信がない…と悩んでいる方もいるかもしれません。クレヒスは、これから改善していくことができます。クレジットカードをコンスタントに使い、きちんと毎月返済していくようにすれば、良いクレヒスを上書きできるのです。
良いクレヒスに育てるには、まずは使いやすいビジネスカードを用意しましょう。ショッピング利用枠を少額で希望したり、キャッシングの利用枠を無しで申請すれば、カード審査のハードルが下がります。
作ったビジネスカードを、少額でも良いので毎月利用していきます。そして、返済を確実に行うようにしてください。借入れをしている場合は、借入れ金額や件数を減らします。
これを2年ほど続けていくことができれば、少なくとも延滞の情報はクリーンになります。2年は決して短い時間ではありませんが、良いクレヒスが作れればカード発行会社からの信用を得られ、審査通過率が高くなります。
ビジネスカード審査で事業実績を確認される場合
「ビジネスカードの審査では個人の信用度が重視される」という今の傾向を説明してきました。しかし、少数派ではありますが、発行時に事業状況を確認するビジネスカードも存在します。
一般的なビジネスカードの審査基準として「開業後3年以上経過していること」「黒字決算を2期続けていること」という一応の目安があります。安定経営を続けている個人事業主は、こうした条件をクリアできるため、審査に通過する可能性が高いと思われます。しかし、申し込み条件としてそこまで要求しているビジネスカードは見られません。
申し込み条件で事業状況に触れているビジネスカードの例
- 原則、黒字決算であること(MUFGカード ビジネス)
- ショッピング利用枠200万円以上を希望する場合は、確定申告2期分の資料を用意する
(ライフカードビジネス)
MUFGカード ビジネスは他のカードよりも申し込み条件が厳しく、「原則黒字」と明記しています。と言っても、申し込み時に、決算書や確定申告書を提出する必要はありません。あくまでも自己申告です。「原則」という表現をしていることを考えると、厳密な条件ではないように受け取れます。
ライフカードビジネスは、ショッピングの利用限度額の希望が100万円以上である場合に決算状況がわかる書類を求められます。確実に返済できるかチェックするために資料が必要になるということです。
審査に通りやすくなるコツ
カード発行会社が最も恐れるのは、貸し倒れです。リスクが見込まれる場合、審査はすんなりとは通りません。貸し倒れリスクが少ないと判断してもらうには、いくつかのポイントがあります。
- キャッシング機能があっても、利用を希望しない
- ショッピング利用枠の希望額が小さい
個人事業主用のビジネスカードでは、キャッシング機能を利用できるものがあります。しかし、キャッシングを希望すると、審査はより慎重に行われる傾向があります。
また、ショッピング利用枠の希望を高額に設定すると、「高額の利用枠が必要な状況なのか」「返済がきちんとできるのか」と判断される可能性があります。
ショッピング利用枠は、カードを利用しながら徐々に大きくしていくことができます。発行されたビジネスカードを毎月利用し、着実に返済を続けていければ、カード会社の方から利用枠の拡大を勧めてくることもあります。