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労災保険の特別加入について – 事業主の労災加入

2019/04/23

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労災保険の特別加入について

一定の条件を満たせば、個人事業主も労災保険に「特別加入」できます。事業主が「一人親方」と「中小事業主」のどちらに該当するかで加入条件は異なり、それぞれ「特別加入団体」や「労働保険事務組合」の利用が必要です。また、補償内容なども若干異なります。

労災保険とは?

労災保険とは、業務中や通勤中のケガなどについて、費用を負担してくれる保険制度のこと。本来は「労働者」のための保険ですが、条件を満たせば事業主と専従者も「特別加入」することができます。

特別加入の条件は「一人親方」と「中小事業主」で異なる

労災保険に特別加入するための条件は、事業主の種類によって異なります。厚生労働省の区別では、労働者なしで事業を営む事業主を「一人親方その他の自営業者」、一定数以下の労働者を雇う事業主を「中小事業主等」と呼びます。
一人親方と中小事業主の区別

「一人親方その他の自営業者」とは?

「一人親方その他の自営業者」(以下、一人親方)とは、労働者を使用しないで事業を行う事業主のことです。専従者は「労働者」に含まれません。家族と事業を行なっていても、それ以外に労働者がいなければ、事業主は「一人親方」に該当します。

「中小事業主等」とは?

「中小事業主等」(以下、中小事業主)とは、常に一定数以下の労働者を使用する事業主のことです。中小事業主の労働者数は、業種ごとに以下のように定められています。

業種 労働者数
金融業 50人以下
保険業 50人以下
不動産業 50人以下
小売業 50人以下
卸売業 100人以下
サービス業 100人以下
上記以外の業種 300人以下

特別加入の条件

一人親方と中小事業主、それぞれの加入条件は以下のとおりです。なお、事業主が加入条件を満たしていれば、専従者も特別加入することができます。

条件
一人親方
  • 特別加入の対象となる特定の事業を営んでいる
  • 「特別加入団体」に加入している
中小事業主
  • 事業所の労働者がもれなく労働保険に加入している
  • 労働保険の事務を「労働保険事務組合」に委託している

特別加入の条件 – 一人親方の場合

一人親方の場合、労災保険に特別加入するためには、以下の条件を両方とも満たす必要があります。なお、労働者を雇う場合でも、労働者を使用する日数が1年間に100日未満であれば、一人親方として特別加入することができます。

  1. 特別加入の対象となる特定の業種を営んでいる
  2. 「特別加入団体」に加入している

加入条件1. 運送業・建築業・漁業などの「特定の業種」を営んでいる

特別加入の対象となる「特定の業種」とは、主に以下のような業種です。

  • 自動車を使用する、旅客や貨物の運送事業
  • 土木、建築、建物などの改造、修理、解体に関わる事業
  • 漁船を使用した漁業などの事業
  • リサイクルを目的とした廃品回収、運搬、解体などに関わる事業

特別加入できる業種の条件に関しては、更に細かな規定もあります。詳細については、厚生労働省が公開している資料を確認しましょう。
厚生労働省 – 特別加入者の範囲

加入条件2. 「特別加入団体」に加入している

一人親方が労災保険に特別加入するためには、「特別加入団体」への加入が必須です。「特別加入団体」は全国に多数存在しますが、業種や地域によって加入できるものが異なります。

例として、東京都で加入できる「特別加入団体」の一部を以下に挙げます。保険料や補償内容はどこも変わりませんが、入会金や手数料は団体によって差があります。

対象の業種 入会金・手数料など(税抜)
一人親方団体労災センター 建設業
  • 入会金1,000円
  • 組合費500円/月
東京建設部会 建設業
  • 組合費10,000円/年
中企団労働保険事務組合 建設業、運輸業
  • 入会金1,000円
  • 組合費2,000円/月

特別加入の手続き – 一人親方の場合

一人親方が労災保険に特別加入する際には、加入したい「特別加入団体」に申し込みをすればOKです。その後、団体側が労働局に届け出て、手続きが完了します。最近ではインターネットから加入を申し込める団体も多くあります。

特別加入手続きの流れ

なお、それまでに従事していた業務の種類によっては、加入前に健康診断の受診が必要になる場合があります。詳しくは後述します。

特別加入の条件 – 中小事業主の場合

中小事業主の場合、労災保険に特別加入するためには、以下の条件を両方とも満たす必要があります。なお、労働者を使用する日数が1年間に100日以上あれば、中小事業主として特別加入することになります。

  1. 事業所の労働者がもれなく労働保険に加入している
  2. 労働保険の事務を「労働保険事務組合」に委託している

加入条件1. 労働者をもれなく労働保険に加入させる

「労働保険」とは、労災保険と雇用保険を合わせた保険制度の総称です。特別加入の際には、労働者が労働保険に加入していることが前提条件になります。雇用と同時に必要書類を提出して、必ず加入手続きを行いましょう。その際の提出書類は以下のとおりです。

提出期限 提出先
労働保険 保険関係成立届 雇用した翌日から10日以内 労働基準監督署など
概算保険料申告書 一人目を雇用した翌日から50日以内
(以降は毎年6月1日~7月10日)
雇用保険適用事業所設置届 一人目を雇用した翌日から10日以内 ハローワーク
雇用保険被保険者資格取得届 雇用した翌月の10日

(一元適用事業の場合)

加入条件2. 「労働保険事務組合」に事務作業を委託する

「労働保険事務組合」とは、厚生労働省の認可を得て、労働保険に関わる事務作業の委託を請け負う団体のことです。中小事業主が労災保険に特別加入するためには、これを利用しなくてはなりません。事務を委託できる団体は、業種や地域によって異なります。

例として、東京都で加入できる「労働保険事務組合」の一部を以下に挙げます。事務の委託にかかる手数料などは団体によって異なり、労働者の人数によっても変わってきます。

対象の業種 入会金・手数料など(税抜)
東都労務研究会 業種を問わない
  • 入会金5,000円~
  • 手数料5,000円~/月
東京労務管理協会 業種を問わない
  • 入会金10,000円~
  • 協会費10,000円~/月
東京都美容生活衛生同業組合 美容業
  • 入会金3,000円
  • 組合費1,510円/月
  • 手数料630円~/月

特別加入の手続き – 中小事業主の場合

中小事業主が労災保険に特別加入する際には、事務を委託する「労働保険事務組合」に申し込みをすればOKです。その後、組合側が労働局に届け出て、手続きが完了します。労働者が増えた場合は、その度に組合への届出が必要になります。

特別加入の手続きの流れ(中小事業主)

なお、それまでに従事していた業務の種類によっては、加入前に健康診断の受診が必要になる場合があります。

加入時に健康診断が必要になる場合

一人親方も中小事業主も、特定の業務に長く従事していたことがある場合は、そのことを事前に申告した上で、加入前に健康診断を受けなくてはなりません。健康診断が必要になるのは、以下の業務に従事していた場合です。

従事した期間 必要な健康診断
粉じん作業を行う業務 3年以上 じん肺健康診断
振動工具を使う業務 1年以上 振動障害健康診断
鉛業務 6ヶ月以上 鉛中毒健康診断
有機溶剤業務 有機溶剤中毒健康診断

健康診断の結果によっては、特別加入が制限される場合や、一部の給付が受けられなくなる場合があります。

特別加入の補償範囲

労災保険では、業務中のケガなどを指す「業務災害」と、通勤中のケガなどを指す「通勤災害」に対して給付が行われます。

補償の範囲を見極める際には、いくつか重要なポイントがあります。それらをざっくりまとめると以下のようになります。これらに当てはまるケガなどに関しては、給付を受けられる可能性が高いです。

  • 事業のために必要な作業が原因のケガである
  • 必要な作業の準備や後始末が原因のケガである
  • 合理的な経路での通勤中の事故によるケガである

基本的には、ケガや病気の原因が「事業のために必要な作業」だったかという点が最も重要なポイントになります。ケガなどの原因が「事業に直接必要のない作業」だったと見なされれば、給付を受けることはできません。

一人親方は業種ごとに補償の範囲が決まっている

一人親方の場合、業種ごとに補償の範囲が細かく決められています。どれも基本になるのは上記のようなポイントですが、細かい部分は厚生労働省が公開している基準を確認しておきましょう。
厚生労働省 – 補償の対象となる範囲

中小事業主が補償されるのは「労働者」としての作業だけ

中小事業主の場合、補償の範囲に関して特に注意しなくてはならないのが、「労働者」として行う作業しか補償されないという点です。事業主特有の作業や、労働者よりも極端に就業時間を伸ばして行う作業については、補償の対象外となる場合があります。

特別加入の保険料

特別加入の場合、労災保険料は「保険料算定基礎額」に業種ごとの保険料率をかけて算出します。「保険料算定基礎額」とは、一年分の「給付基礎日額」を合計したものです。特別加入の保険料を式に表すと、以下のようになります。

労災保険料の計算式

給付基礎日額は加入者が選べる

「給付基礎日額」とは、保険料や給付の金額を決める際の基礎となる数字のこと。加入者は、3,500円から25,000円までの16段階から、自由に給付基礎日額を選ぶことができます。給付基礎日額が高いほど、保険料と給付額も大きくなります。

以下の表が、給付基礎日額ごとの年間保険料の例です。給付基礎日額を低く設定すれば保険料は安くなりますが、給付額も少なくなってしまうので注意しましょう。

給付基礎日額ごとの保険料例

給付基礎日額 保険料算定基礎額
(給付基礎日額×365)
年間保険料の例
(建設業などで料率が1.2%の場合)
3,500円 1,277,500円 15,324円
5,000円 1,825,000円 21,900円
7,000円 2,555,000円 30,660円
10,000円 3,650,000円 43,800円
14,000円 5,110,000円 61,320円
25,000円 9,125,000円 109,500円

一人親方には特別な保険料率がある

一人親方の場合は、業種ごとに特別な保険料率が用意されています。労働者とは料率が異なる場合があるので、注意しましょう。一人親方の主な業種の保険料率は、以下のとおりです。

一人親方の主な業種 保険料率
旅客や貨物の運送事業 1.2%
建設に関わる事業 1.8%
漁船による漁業などの事業 4.5%
廃品の収集などに関わる事業 1.4%

まとめ – 労災保険に特別加入する方法

一定の条件を満たせば、個人事業主も労災保険に「特別加入」できます。その際、加入条件は事業主が「一人親方」と「中小事業主」のどちらに該当するかで異なります。なお、事業主が加入条件を満たしていれば、専従者も特別加入できます。

特別加入の条件

条件
一人親方
  • 特別加入の対象となる特定の事業を営んでいる
  • 「特別加入団体」に加入している
中小事業主
  • 事業所の労働者がもれなく労働保険に加入している
  • 労働保険の事務を「労働保険事務組合」に委託している

一人親方の場合

加入の対象となる「特定の事業」とは、主に以下のような事業を指します。

  • 自動車を使用する、旅客や貨物の運送事業
  • 土木、建築、建物などの改造、修理、解体に関わる事業
  • 漁船を使用した漁業などの事業
  • リサイクルを目的とした廃品回収、運搬、解体などに関わる事業

上記のような事業を行う一人親方は、加入したい「特別加入団体」に申し込みをすればOKです。その後、団体側が労働局に届け出て、手続きが完了します。

中小事業主の場合

中小事業主が特別加入をする際には、事業所の労働者がもれなく労働保険に加入していることが前提条件になります。雇用と同時に以下の必要書類を提出して、必ず加入手続きを行いましょう。

提出期限 提出先
労働保険 保険関係成立届 雇用した翌日から10日以内 労働基準監督署など
概算保険料申告書 一人目を雇用した翌日から50日以内
(以降は毎年6月1日~7月10日)
雇用保険適用事業所設置届 一人目を雇用した翌日から10日以内 ハローワーク
雇用保険被保険者資格取得届 雇用した翌月の10日

(一元適用事業の場合)

労働者の加入手続きが完了している場合は、事務を委託する「労働保険事務組合」に申し込みをすればOKです。その後、組合側が労働局に届け出て、手続きが完了します。

 
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