クラウド型会計ソフト検討の大きな理由のひとつである、取引データの自動仕訳機能。大手3社のマネーフォワード・弥生・freeeについて、それぞれ比較・解説します。
マネーフォワード クラウド確定申告
やよいの青色申告 オンライン
freee
対応する金融機関やサービスの比較
まずは、「マネーフォワード クラウド確定申告」(以下マネーフォワード)、「やよいの青色申告 オンライン」(以下弥生)、「freee」、それぞれ対応する金融機関について比較していきます。
3社の対応する金融機関数・サービスの比較
マネーフォワード | 弥生 | freee | |
---|---|---|---|
連携金融機関数 (銀行・クレジットカード) |
約3,500社 | 約1,200社 | 約3,500社 |
連携サービス | ◎ | △ (外部サービス経由) |
◯ |
まず、基本的に銀行やクレジットカードの連携については、各社で大きな差はありません。強いて言うならば、弥生が若干少ないくらいでしょう。とはいっても、ある程度メジャーな金融機関は網羅されているので、大きな問題ではありません。
各社で差がでてくるのは、電子マネーや通販サイト、POSレジなどをはじめとした、その他のサービスの連携です。
マネーフォワードの場合
マネーフォワードは、3社の中で対応する金融機関・サービス数が最多です。また、アフィリエイトやクラウドソーシング、ネットショップなど、個人事業主がよく利用するサービスへの対応が充実しているのも、マネーフォワードの特徴です。
マネーフォワードの連携金融機関・サービス一覧
弥生の場合
弥生の場合は、金融機関の連携数はマネーフォワードの半分以下ですが、利用者の多いものはしっかり押さえてあります。
マネーフォワードやfreeeと大きく異なるのは、電子マネーやPOSレジをはじめとしたサービスを直接ソフトと連携できず、外部サービスを経由する必要がある点です。
別途で会員登録をしなくてはならず面倒だったり、外部サービス経由がゆえに、直接取込と比べてデータ取得に時間がかかることが多いです。なお、外部サービスさえ経由すれば、電子マネーやポイントカードについてはほとんどのサービスと連携可能です。
freeeの場合
freeeの場合、金融機関の連携数はマネーフォワードとほぼ同程度で、豊富に揃っています。各種サービスの連携は、個人事業主がよく利用する代表的なサービスについては網羅されています。しかし、連携可能数や対応する業種の幅広さはマネーフォワードに劣ります。
マネーフォワード・弥生・freee 直接連携できるサービス一覧(一部)
マネーフォワード | 弥生 | freee |
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自動仕訳のインターフェイス比較
つぎに、それぞれの自動仕訳のインターフェイスです。基本的にはどのソフトも、操作画面に自動取得された取引データの明細(口座名・摘要・勘定科目など)の一覧が表示されます。
マネーフォワード・弥生・freee 操作画面の比較
マネーフォワード | 弥生 | freee |
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各社異なる勘定科目の入力欄
マネーフォワード | 弥生 | freee |
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初心者でも勘定科目を選びやすい「弥生」と「freee」
弥生とfreeeの勘定科目の入力欄は、各科目についてのかんたんな説明がついています。複式簿記に慣れていない経理初心者でも、迷うことなく正しい勘定科目を入力できます。
シンプルに勘定科目の一覧が並ぶ「マネーフォワード」
一方でマネーフォワードの勘定科目の入力欄は、勘定科目だけがシンプルに並んでいます。慣れている人にはムダがなくていいですが、簿記の知識があやふやだと少し苦労するかもしれません。
「freee」には補助科目や摘要の記入欄がない
なお、freeeには補助科目や摘要の記入欄がありません。かわりに「取引先」「品目」「部門」「メモタグ」「備考」などの情報をつけることができます。
簿記の用語がわからない経理初心者にはわかりやすい反面、複式簿記に触れたことがある人にとっては、少しわかりにくいインターフェイスと言えるでしょう。
自動仕訳の機能を比較
自動仕訳機能について、以下に挙げる基本機能は3社どのソフトにも備わっています。以下をふまえて各社の特徴的な機能について見ていきましょう。
自動仕訳の基本機能
- 各種金融機関との連携、取引データの自動取得
- 自動取得した取引データの自動仕訳提案(勘定科目の提示)
- 自動仕訳の独自ルール設定
- 機械学習による仕訳精度の向上
それぞれの特徴について触れる前に、「機械学習による仕訳精度の向上」について解説しておきます。
クラウド型会計ソフトは、選択された内容を記憶して、「この取引のときはこの勘定科目を提案する」と学習していきます。このため、使い続けるほど自動仕訳の精度が上がっていきます。したがって、ソフトごとの自動仕訳精度の優劣については、あまり気にする必要はありません。
「マネーフォワード」の自動仕訳
マネーフォワードでは、取得した取引データの仕訳結果を、最大50件まで一括登録が可能です。もともとクラウド型には、インストール型と比べて、ひとつひとつの動作が遅いという欠点があります。そのためマネーフォワードのように一括登録ができると、作業時間が大幅に短縮できます。
「弥生」の自動仕訳
弥生のクラウド会計ソフトの自動仕訳について、利用できる機能自体に関しては他の2社と比べて大きな差はありません。しかし、弥生で自動仕訳機能を操作する場合、ソフトとは別で「スマート取引取込」という画面を起動して、そこからソフト内にデータを取り込む必要があります。
つまり「やよいの青色申告 オンライン」のソフト内のメインメニューのリンクから、改めて「スマート取引取込」を起動して、そこで自動仕訳を操作するというかたちになります。
ソフトを起動したうえで、「スマート取引取込」という操作画面を再度起動するので、操作画面の起動時や終了時に、すこし動作のもたつきを感じることがあります。
「freee」の自動仕訳機能
同じ口座から、同じ摘要や勘定科目の取引がしょっちゅうある場合、クラウド型の会計ソフトには「こういう内容の明細は、このような勘定科目を登録する」という独自ルール設定をする機能がついています。
freeeではこの機能を「自動登録ルール」と呼びます。freeeの自動登録ルールでは、登録作業までも自動化するよう設定が可能です。つまり、ルール設定さえ済ませておけば、特定の内容の取引については、今後同じ取引が発生した時に自動で登録までしてくれます。ユーザー確認ナシで自動登録してくれるので、使い方によっては経理業務の大半を自動化することも夢ではありません。
自動仕訳機能に関する3社の特徴まとめ
マネーフォワード | 弥生 | freee | |
---|---|---|---|
プラン・料金 | パーソナルミニ (メール・チャット) 980円/月 9,600円/年 パーソナル パーソナルプラス |
セルフプラン (サポートなし) 8,000円/年 ベーシックプラン トータルプラン |
スターター (メール・チャット) 1,180円/月 11,760円/年 スタンダード プレミアム |
インター フェイス |
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インター フェイスの 特徴 |
シンプル、少しでも知識がある人向け | シンプル、勘定科目は解説付き | 解説が豊富で初心者でも記入しやすい |
銀行・クレジットカード 連携数 |
約3,500社 | 約1,200社 | 約3,500社 |
その他サービス連携 | ◎ | △ (外部サービス経由) |
◯ |
特徴 |
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* 会計ソフトに関する問い合わせのみ可能
自動仕訳機能について3社を比較すると、金融機関・サービスの提携の充実に関してはマネーフォワード、仕訳の自動化やスマホから操作可能な点に関してはfreeeが優れています。
弥生は後発のクラウド型会計ソフトということもあり、自動仕訳機能の面ではマネーフォワード・freeeに劣ります。しかし、老舗ならではのサポート体制や、今まで弥生製品を利用してきたユーザーにとって操作しやすいことなど、弥生にしかないメリットもあります。
銀行・クレジットカードなどの明細データを自動取得して勘定科目の提案をしてくれる、という自動仕訳機能の基本的な部分は、どのソフトでも問題なく利用できます。自動仕訳は利用頻度の高い機能なので、無料お試しプランを実際に使ってみて、自分に合うものをじっくり選ぶことをオススメします。