「やよいの青色申告 オンライン」は、大手老舗会計ソフトメーカー弥生が提供する、個人事業主向けクラウド型会計ソフトです。クラウド型会計ソフトを検討中の個人事業主に向けて、特徴やメリット・デメリットを解説します。
目次
プランごとの料金とサポート体制の比較
「やよいの青色 オンライン」に用意されているプランは、「セルフプラン」と「ベーシックプラン」と「トータルプラン」の3種類です。
やよいの青色申告 オンラインのプラン一覧
セルフプラン | ベーシックプラン | トータルプラン | |
---|---|---|---|
サポート 体制 |
サポートなし | メール・チャット・電話 | メール・チャット・電話 |
料金 | 8,000円/年 | 12,000円/年 | 20,000円/年 |
「セルフプラン」には、サポートがつきません。一方で「ベーシックプラン」と「トータルプラン」には、メール・チャット・電話サポートがついてきます。経理初心者や、会計ソフト初心者の場合は、慣れるまではサポート付きの「ベーシックプラン」「トータルプラン」がおすすめです。
なお参考として、他の人気クラウド型会計ソフト「マネーフォワード クラウド確定申告」および「freee」の、プラン料金とサポート内容を紹介します。
大手3社のプラン比較
やよいの青色申告 オンライン | マネーフォワード | freee |
---|---|---|
セルフプラン (サポートなし) 8,000円/年 ベーシックプラン トータルプラン |
パーソナルミニ (メール・チャット) 980円/月 9,600円/年 パーソナル パーソナルプラス |
スターター (メール・チャット) 1,180円/月 11,760円/年 スタンダード プレミアム |
* 会計ソフトに関する問い合わせのみ可能
「やよいの青色申告 オンライン」では、電話サポートありの「ベーシックプラン」が12,000円/年です。「マネーフォワード クラウド確定申告」や「freee」と比べて、電話サポートが最も低コストで受けられます。
電話サポートを安く利用できるので、「タイピングに自信がないから電話で会話しながらサポートを受けたい」という人にとっては、やよいの青色申告 オンラインの「ベーシックプラン」は非常におすすめです。
また、サポートなしの「セルフプラン」も8,000円/年と3社中で最安値なので、弥生製品を使ったことがある人や、経理に自信がある人はこのプランでもいいでしょう。
操作画面はわかりやすいが、ところどころで慣れが必要
上の画像は、「やよいの青色申告 オンライン」のホーム画面です。左のメインメニューとは別に、『今すぐ「やよいの青色申告 オンライン」を始めます』という、基本操作をアテンドする画面が出てきます。まずなにをすればいいのかわからない初心者にも、わかりやすい配慮ですね。
取引入力画面
「やよいの青色申告 オンライン」で手動の仕訳入力を行う場合、簿記が苦手な人でも使いやすい「かんたん取引入力」と、通常の仕訳入力画面の2種類があります。
「かんたん取引入力」の操作画面
「かんたん取引入力」を利用すると、赤枠内に必要事項を打ち込むだけで、自動で仕訳してくれます。仕訳の借方・貸方のしくみがよくわからない人でも安心です。
通常の仕訳入力画面
簿記に慣れていて「かんたん取引入力」が逆に使いにくいと感じる場合は、複式簿記と同じ形式の仕訳入力画面からも入力ができます。
欠点は「スマート取引取込」内で消えるホームボタン
画面左端には、常時メインメニューが設置されています。基本的にどのページを操作していても、一番上の「ホーム」をクリックすることで、ホーム画面に戻ることができます。
しかし、「スマート取引取込」利用時のみ、「ホーム」ボタンの表示が消えてしまいます。
「取込入力画面に戻る」をクリックすると、まずこのようなポップアップが表示され、「はい」をクリックすることで、「スマート取引取込」を終了できます。なお、このときのジャンプ先は「かんたん入力画面」となり、一発でホーム画面に戻ることはできません。
「スマート取引取込」は利用頻度の高いページなので、この仕様に慣れるまでは少々不便に感じることもあるでしょう。
データの自動取得・仕訳機能について
多くの個人事業主がクラウド型会計ソフトを導入する大きな目的のひとつが、データの自動取得・仕訳機能です。これは、銀行口座やクレジットカードを連携することで、ソフトが自動で明細データの取込、また仕訳提案をしてくれる機能です。ほとんどのクラウド型会計ソフトがこの機能を搭載しています。
「やよいの青色申告 オンライン」の場合は、「スマート取引取込」からこの操作が可能です。しかしマネーフォワードやfreeeに比べると、この機能に関して弱い部分があります。
やよいの青色申告 オンラインのデータ取得のしくみ
やよいの青色申告 オンラインの場合、データ取得の方法が2通りあります。
各金融機関から直接取込
ソフトに銀行口座やクレジットカードを連携して、直接データを取得する一般的な方法です。「やよいの青色申告 オンライン」の場合、この直接連携できるサービスの種類が、マネーフォワードやfreeeと比べて少ないのが欠点です。基本的には主要な銀行、クレジットカード会社以外は対応していません。
外部サービス経由で取込
「やよいの青色申告 オンライン」と直接連携できない、電子マネーや通販サイトなどの各金融機関からのデータ取得は、下記のような外部の口座情報管理サービスを経由する必要があります。外部サービスへの会員登録を別途で行う必要があり、少し面倒です。また外部サービス経由なので、直接取込と比べて、データ取得に時間がかかることが多いです。
スマホアプリで使える便利機能
弥生・マネーフォワード・freee、3社のクラウド会計ソフトには、スマホなどからソフトを利用するための専用アプリが用意されています。この専用アプリは、メーカーごとに使える機能が異なるので注意しましょう。
「やよいの青色申告 オンライン」のスマホアプリは、基本的に出先での仕訳作業にフォーカスした機能設定です。どのプランであっても、スマホアプリで仕訳入力やレシート撮影機能を無制限で利用できます。なお仕訳入力には「やよいの青色申告 オンラインアプリ」、レシート撮影には「弥生 レシート取込アプリ」と、それぞれ別のアプリに登録が必要なので注意しましょう。
仕訳入力機能は4ステップでかんたん
「やよいの青色申告 オンラインアプリ」は、スマホでの仕訳入力に特化したアプリです。
勘定項目を設定 | 取引内容入力 | 金額を入力 | 登録完了 |
このように、画面に沿って入力するだけでたったの4ステップでかんたんに仕訳入力ができます。もちろんソフト本体と連携しているので、スマホから登録した仕訳がパソコンで確認できます。
無制限で使えるレシート撮影機能
「やよいの青色申告 オンライン」では、すべてのプランでレシート撮影アプリ「弥生 レシート取込アプリ」を利用できます。このアプリでは、レシートを撮影するだけで、アップロードと取引の自動解析が行われます。解析によって、レシートの日付・金額・摘要部分が自動で取り込まれます。
アプリ情報はソフト本体と連携されているので、撮影データはソフト内の「スマート取引取込」から確認して、他の連携データと同じように取引登録ができます。
やよいの青色申告 オンラインを利用するメリット
ここからは「やよいの青色申告 オンライン」を利用するメリットについて説明します。以下に代表的なメリットをまとめました。
やよいの青色申告 オンラインを利用するメリットまとめ
- 電話サポートが安い
- スマホアプリで経理作業が可能
- パッケージ型の弥生製品から乗り換えが簡単
電話サポートが安い
「やよいの青色申告 オンライン」では、電話サポート付きのプランが、大手3社のなかで最も低コスト(ベーシックプラン:12,000円/年)です。電話サポートは利用したいけれどランニングコストは抑えたい、という人にはぴったりです。
スマホを利用して経理作業ができる
「やよいの青色申告 オンライン」は、スマホアプリからの仕訳入力やレシート撮影機能を、全てのプランで使うことができます。いちいちパソコンを開かなくても仕訳作業ができるので、移動中やちょっとした空き時間を有効活用できて便利です。
各ソフトの機能比較 料金・スマホアプリ
やよいの青色申告 オンライン |
マネーフォワード クラウド確定申告 |
freee | |
---|---|---|---|
料金 | セルフプラン 8,000円/年 (サポートなし) ベーシック トータル |
パーソナルミニ (メール・チャット) 980円/月 9,600円/年 パーソナル パーソナルプラス |
スターター 1,180円/月 11,760円/年 (メール・チャット) スタンダード プレミアム |
スマホ アプリ 対応機能 |
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* 会計ソフトに関する問い合わせのみ可能
もし電話サポート付きのプランで、なおかつスマホでの仕訳入力機能を希望する場合、選択肢は以下の3つで、「やよいの青色申告 オンライン」がだいぶお得です。
電話サポート+アプリ仕訳入力機能対応プラン
- 「やよいの青色申告 オンライン」ベーシックプラン:12,000円/年
- 「やよいの青色申告 オンライン」トータルプラン:20,000円/年
- 「freee」プレミアムプラン:39,800円/年
また、レシート撮影機能を無制限で利用したい場合の選択肢は以下の5つです。こちらも「やよいの青色申告 オンライン」の提供する3プランがお得です。
レシート撮影機能(無制限)対応プラン
- 「やよいの青色申告 オンライン」セルフプラン:8,000円/年
- 「やよいの青色申告 オンライン」ベーシックプラン:12,000円/年
- 「やよいの青色申告 オンライン」トータルプラン:20,000円/年
- 「freee」スタンダード:23,760円/年
- 「freee」プレミアム:39,800円/年
freeeは、スマホアプリ機能が豊富な反面、利用料金が高めです。一方でやよいの青色申告 オンラインは、スマホアプリ機能の種類はfreeeに劣るものの、料金は1/3以下で利用できます。
パッケージ型からの乗り換えがかんたん
クラウド型を検討する個人事業主の中で、現在弥生のパッケージ型製品を利用中という人も多いのではないでしょうか。
「やよいの青色申告 オンライン」はパッケージ型の弥生製品をベースにしたインターフェイスなので、今まで弥生の製品を使っていた個人事業主にとっては、乗換後の操作がスムーズに行えます。
このように、「弥生データのインポート・エクスポート」、「やよいの白色申告 オンラインからの移行」の専用フォームが用意されていて、もともとの弥生ユーザーは安心して乗り換えることができます。
やよいの青色申告 オンラインを利用するデメリット
次に、「やよいの青色申告 オンライン」の代表的なデメリットについて、以下のようにまとめました。
やよいの青色申告 オンラインを利用するデメリットまとめ
- データ自動取得機能の一部が外部サービス経由
- データ共有ができない
- 農業所得や分離課税は未対応
データ自動取得機能の一部が外部サービス経由
マネーフォワードやfreeeといった他のクラウド型会計ソフトでは、銀行口座やクレジットカードの明細データを直接取り込むことができます。
一方で、「やよいの青色申告 オンライン」を利用してデータ取得を行う場合、大手銀行やクレジットカード以外の一部サービスについては、外部サービスを経由する必要があります。
データ共有ができない
「やよいの青色申告 オンライン」は他ユーザーとデータ共有ができません。共有ユーザーを追加したい場合には、通常プランと同じ料金を、追加ユーザーの人数分支払う必要があります。従業員や税理士とデータを共有する予定がある人は注意しましょう。
農業所得・株取引などの分離課税には未対応
「やよいの青色申告 オンライン」は農業所得や、株取引などで発生する分離課税には対応していません。これらの申告が必要な事業主は注意しましょう。
なお大手3社のなかでは、freeeのみが農業所得・分離課税ともに対応しています。
やよいの青色申告 オンライン導入に向いている人の特徴
- 電話サポートもスマホアプリの機能も欲しいけれど、コストは抑えたい人
- サポートは必要ないので、そのぶんコストを抑えたい人
- 出先でスマホアプリから仕訳入力をしたい人
- パッケージ型の弥生製品から乗り換えを検討している人
- 他ユーザーとのデータ共有予定がない人
「やよいの青色申告 オンライン」の主な魅力は、電話サポート付きプランが安い点や、
スマホから仕訳作業が行える点です。また、パッケージ型の弥生製品を利用中の人の乗り換えの場合も、既存データの引き継ぎをかんたんに行うことができます。
「やよいの青色申告 オンライン」は無料体験版が2ヶ月間無料なのも魅力です。導入を検討している人は、ぜひ無料体験版から試してみてはいかがでしょうか。