中小企業・個人事業主のためのビジネスカード情報

減価償却を分かりやすく!個人事業主の帳簿づけ解説

PR

2021/04/12

date
減価償却ってなに?

減価償却について、個人事業主向けにまとめました。車や建物など、高価な固定資産を事業用に購入すると、減価償却と呼ばれる会計処理をすることになります。

減価償却とは

「減価償却」には次の2つの側面があります。

  • 年々減少する固定資産の価値を帳簿に反映させる
  • 固定資産の取得価額を、数年に渡って少しずつ経費に計上する

この際、どのくらい価値が減少するのか、また、どの程度の額を経費に計上していくのかを判断するための基準となるものが「法定耐用年数」です。

減価償却の関連用語

減価償却資産 減価償却の対象となる資産
減価償却費 毎年の決算時に、減価償却資産の価値の減少分を必要経費として計上する際に使う勘定科目
取得価額 固定資産の本体価格と、それを購入するのに要した費用の合計額(送料、購入手数料などを含む)
法定耐用年数  税法で決められている減価償却資産の使用可能年数

主な減価償却資産の耐用年数表 – 国税庁

対象となるもの・ならないもの

購入代金が10万円以上の固定資産が全て、減価償却資産に該当するわけではありません。減価償却資産を考える上では、以下のようなポイントがあります。

減価償却資産のポイント

  • 使用可能年数が1年以上のもの
  • 取得価額が10万円以上のもの
  • 時間が経つにつれて価値が減少するもの
  • 事業で使用するもの

たとえば、固定資産であっても骨董品や書画で、時間が経っても価値が減少しないようなものは、減価償却の対象外になります。

減価償却の対象をざっくりと分類

減価償却の対象(一例) 減価償却の対象外(一例)
有形固定資産
  • 建物
  • 車
  • パソコン
  • 骨董品
  • 書画
  • 土地
無形固定資産
  • ソフトウェア
  • 特許権
  • 商標権
  • 借地権
  • ゴルフ会員権
  • 電話加入権

3つの償却方法を比較

減価償却資産は、通常なら法定耐用年数に従い、数年に渡って経費に計上します。ただし、一定の条件を満たしている場合、3分の1ずつか一括で経費にすることができます。

減価償却資産の処理方法

(通常の)減価償却
10万 ≦ 取得価額
一括償却資産の特例
10万 ≦ 取得価額 < 20万
少額減価償却資産の特例
10万 ≦ 取得価額 <30万
取得価額を耐用年数で分割して経費にする 取得価額の3分の1ずつを3年に渡って経費にする 取得価額の全額をその年の経費にする

取得価額と償却方法の選択肢

(通常の)減価償却 一括償却資産の特例 少額減価償却資産の特例*
30万円以上 ○ ✕ ✕
20~30万円未満 ○ ✕ ○
10~20万円未満 ○ ○ ○

*青色申告者のみが適用できる

「少額減価償却資産の特例」を適用できるのは青色申告者のみです。ただし、限度額が設けられていて、特例を適用した減価償却資産の合計額が、年間で300万円までとなっています。

減価償却費の計算方法

個人事業主の場合、減価償却費は基本的に「定額法」で計算します。これは、1年目から耐用年数の最後の年まで、一定の額を償却する方法です。

定額法の計算方法
取得価額 ÷ 法定耐用年数 = その年の減価償却費

※使用期間が1年未満の場合は、月割の金額で計算する

ちなみに、個人事業主が使うケースは少ないですが、「定率法」という計算方法も存在します。1年目に多くの金額を償却する計算方法なので、購入代金を早いうちに経費化できます。定率法を選択するには、税務署への届出が必要です。

会計処理の流れ – 複式簿記の仕訳例

減価償却資産は、購入時にいったん資産に計上し、後から経費に振り替えて処理するのが基本です。

今回は、2020年10月に取得価額120万円の普通自動車を購入し、すぐに使い始めた場合の仕訳例を紹介します。なお、新車の法定耐用年数は6年です。

購入時に資産に計上する

日付 借方 貸方 摘要
2020年10月1日 車両運搬具 1,200,000 普通預金
1,200,000
業務用自動車

購入時は、まず上のように資産に計上します。「車両運搬具」は、業務で使用する車やオートバイを購入したときに用いる「資産」の勘定科目です。

各年末に経費に振り替えていく

日付 借方 貸方 摘要
2020年12月31日 減価償却費 50,000 車両運搬具 50,000 業務用自動車の
減価償却
2021年12月31日 減価償却費 200,000 車両運搬具 200,000 業務用自動車の
減価償却
・
・
・
2025年12月31日 減価償却費 200,000 車両運搬具 200,000 業務用自動車の
減価償却
2026年12月31日 減価償却費 149,999 車両運搬具 149,999 業務用自動車の
減価償却

減価償却費は以下のように算出します。最初の年は3ヶ月間(10月~12月)しか使用していないので、月割の金額で計算します。

初年の減価償却費
120万円(取得価額)÷ 6年(法定耐用年数)= 20万円

(20万円 ÷ 12ヶ月) × 3ヶ月 = 5万円
2~6年目の減価償却費
120万円(取得価額)÷ 6年(法定耐用年数)= 20万円

最後の年の減価償却費
120万円(取得価額) – 105万円(これまで償却した額) -1円 = 149,999円

最後の年(2026年)は、「その年の減価償却費 -1円」で減価償却費を計算します。この「1円」は、その減価償却資産を処分時まで固定資産台帳から消さないようにするため、残しておかなければなりません。これを「備忘価額」と呼びます。

まとめ

「減価償却」は、年を経て減少する固定資産の価値を帳簿に反映させ、その取得価額を数年に渡って少しずつ経費化することです。

減価償却の重要ポイント

減価償却に関わる用語
  • 「取得価額」は、本体価格とそれを購入するのに要した費用の合計額
  • 「法定耐用年数」は、資産の種類に応じて法的に定められている年数
3種類の償却方法について
  • 減価償却資産の処理方法は3種類ある
  • 取得価額によって適用できる処理方法が異なる
  • 少額減価償却資産の特例を適用できるのは、青色申告者のみ
  • 特例の条件を満たしていても、通常の減価償却を選択することもできる
  • 取得価額が10万円以下の場合は、減価償却をせずに全額その年の経費とする
記帳方法(仕訳)のポイント
  • 減価償却資産はいったん資産に計上して、後から少しずつ経費に振り替えていく
  • 減価償却費は「定額法」で計算するのが基本
  • 耐用年数の最後の年の減価償却では「1円(備忘価額)」を残す

減価償却資産の目安は「年を経て価値が減少する固定資産のうち、取得価額が10万円以上で、使用可能年数が1年以上」です。

地代家賃とは? - 事業に関係のある土地代や家賃など
地代家賃とは?具体例・記帳方法・確定申告書類(決算書)の書き方
通信費とは?該当する費用・仕訳例・家事按分の方法など
広告宣伝費とは?該当する支出や記帳方法について
広告宣伝費とは?具体例・記帳方法・前払い&後払いの会計処理など
旅費交通費とは?事業用途の移動費や宿泊費など
旅費交通費とは?対象の費用・記帳例・家事按分の方法など
消耗品費とは - 具体例や迷いやすい科目の違いを解説
個人事業の消耗品費 – 記帳例・具体例・雑費との違い・上限など
帳簿や書類の保存義務 - 全ての個人事業主が対象
帳簿類の保存義務・保存期間まとめ – 白色申告・青色申告

PAGE TOP